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大学や専門家の「権威」は失墜したほうが良い

あれから1年、正しく怖がる放射能【8】

2012年5月22日(火)

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 よく、大学の中で・・・あるいは外の一般の会合でも・・・話題になるのですが、3.11以降、専門家の「権威」が失墜した、という話を耳にします。

 とりわけ「理工系」「医学系」の専門家、もっとハッキリ言えば原発や放射能関連の話が圧倒的に多いわけですが、これに関わる「大学教授」あるいは明確に「東大」の権威が失墜した、とか何とか、そういう話がしばしば出てきます。

 そこから、どうしたら「権威」を回復できるか、という話が出てきたりするのですが、今回は、一応現役の東京大学教員として、そんな「権威」など回復しなくてよろしい、犬にでも食べさせてしまいましょう、というお話をしようと思います。

対立する複数見解を冷静に検討する大切さ

 いま、文学部哲学科関連で開かれている「死生学」講座のオムニバス講義「応用倫理教育プログラム」のために準備をしています。毎月一回開かれるもので先月は初回、医学部放射線科の中川恵一さんと文学部宗教学科の島薗進さんが厳しい議論を交わされましたが、今月は5月24日の夕刻に東京大学本郷キャンパスで開かれる第二回で、僕が当番に当たってお話をすることになっています。

 この連続講座は哲学科の一ノ瀬正樹さんと宗教学科の島薗進さんがコーディネーターとして進めておられ、上記の中川さん、僕など数名で昨年の7月8日、福島第一原発事故を巡る緊急シンポジウムを文学部哲学科で開きました。

 この日の内容は、おのおの大変に踏み込んだもので、かつ重要だと思ったのは、意見がまっこうから対立する複数の東京大学教員どうしが、準備を整え礼を尽くしながら、正面から「ガチンコ勝負」的に学術的な議論を交わしたことでした。さらにその方向で強化して8カ月ほど時間をかけ『低線量被曝のモラル』(河出書房新社)という書籍に編んで出版しました。

 逆に、ダメだなぁ、意味がないなぁと思うのは、一般のメディア上、マスコミを通じて、きちんとした大学専門人であれ、そうでない人であれ、まともな議論や批判ではない非難、あるいは罵詈雑言、流言飛語などをすっ飛ばしてるのを見ます。あれは、ハッキリ言いますが、やめたほうがいい。また、原発事故を始め、科学や技術的な内容を正確に扱う必要のあるところで無用の感情を持ち込む人(多くの場合不安をあおる)や、基本的な人間としての礼儀をわきまえないようなものは、僕は一切相手にしないことにさせてもらっています。誰も時間のないところで毎日生活をしている訳で、案件は選ばなければいくら寿命があっても足りません。

 一刻、一秒を争うような緊急の事態のときほど、落ち着かねばなりません。「何を悠長なことを言ってるんだ~!」なんて、あまりうるさいのが居たら、本当に大変なときは少し黙らせておく必要があるかもしれません。そんな映画が昔ありました。ワーワー言うだけで役に立たないコミカルなオッサンを、猿ぐつわかませて横に転がして、その人も含めみんなが救出される米国製、ハリウッド映画だったような気がしますが、洒落でなくソレに近いものも見る気がします。

 大切なのは、意見が一致するような状況でないところで、たがいに対立する見解同士を、おのおの落ち着いて、極めて冷静に比較検討しつつ、何が正しいのか、私たちはどうするべきなのか、を、本当にシリアスに考えることです。

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