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「正社員になれなかった人?!」 増幅する非正規社員への偏見

「非正規の賃金は正社員より低い」という“常識”を覆せ

2012年5月31日(木)

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 「非正規ということで、相手の親からダメ出しされてしまいました」

 食品関連の会社に契約社員として勤める38歳の男性はこう話し始めた。

 「確かに正社員に比べれば 給料は低いです。でも、彼女も働いているので、共働きでやっていけば何とかなる。確かに安定もしていないでしょう。そのことに自分自身も不安がないと言ったらウソになります。でも、今のご時世、正社員だから安定していると言えるんでしょうか? 非正規だから収入が低く、将来も不安定と見られて、ダメ出しされるなんてショックでした」

 この男性が指摘するように、「非正規社員→低賃金、不安定→結婚しにくい」という図式は、今年に入ってからも幾度となく報道されている。

 今年3月に厚生労働省が「第9回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)」の結果を発表した時もそうだった。

「正社員=安定」という図式は崩れているのに…

 この調査は少子化対策の具体的な方法を探るのが目的で、2002年10月末時点で20~34歳だった全国の男女と配偶者を対象に毎年1回実施している。今年3月の結果で、「最初の就職先に正規雇用された人の方が、非正規だった人に比べて結婚を経験する割合が高い」としたのだ。

 具体的には……

・男性は「初職が正規(第1回調査時)」で「結婚経験あり」は66.7%。「初職が非正規」で「結婚経験あり」は40.5%。
・女性は「初職が正規(同上)」で「結婚経験あり」は74.7%。「初職が非正規」で「結婚経験あり」は59.4%。

・男女ともに年収が「400万円以上500万円未満」で「結婚している」の割合が最も高く(男性で39.8%)、それより年収が下がるに従って、結婚している割合も低下。最も低い「100万円未満」の男性が結婚している割合は12.1%で、27.7ポイントもの差が見られた。

 このように非正規雇用者が結婚している割合は低い傾向にはある。稼ぎが少なかったり、将来が不安定だったりすると、結婚をためらうことはあるかもしれない。実際、非正規雇用の部下を抱える上司たちから、「部長、正社員にしてくださいよ。このままじゃ、結婚できないですよ」と部下に言われたという話も耳にしてきた。

 でも、冒頭の男性が指摘するように、「正社員=安定」という構造はもはや崩壊している。1997年に山一証券が破綻して以来、大企業でも破綻する例が相次いでいるからだ。

 大企業の正社員でも、いつ勤務先の破綻に伴って失職するか分からない。将来の安定が保証されていないという点では、正社員も非正規社員も、今やそう変わらないのだ。にもかかわらず、「正社員=安定」という図式が迷信のようにいまだに残っている。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「正社員になれなかった人?!」 増幅する非正規社員への偏見」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官