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君は放射線を見たか?福島での霧箱実験授業その8

あれから1年、正しく怖がる放射能【18】

2012年7月31日(火)

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 2011年3月11日の午後2時46分に東日本大震災が起き、そのあと福島第一原子力発電所が危険な状況になった、と報道で知った次の瞬間、かつて物理学を学んだ私が最初に考えたのは「空間線量を確認しなければ!」というものでした。

 テレビをつければ、かつて原子力工学の3年生に物理を教えたときにご一緒した先生が、原子炉内のメカニズムについて説明しておられる。相槌を打つアナウンサーや解説委員が聞いた端から単位の違う数字を繰り返して、それがそのまま放送されている。「マイクロシーベルト/毎時」の「マイクロ」や「毎時」があったりなかったり、これでは下手に放送など聞かないほうが安全ということになりかねない。

 そこで、NHK第一放送1局だけを選び、そこでアナウンサーなどが瞬間的に勘違いした内容に限局してツイッター上で訂正する、ということから、自分に出来ることで事態の打開に貢献しよう、と思ったのでありました。

 これと並行して、実際に何が起きているかを知らねばなりません。かつて東海村でJCO臨界事故などが起き、そのときモニタリング・ポストがたくさん立っていることを知っていたので、その数値を常時チェックするようにしました。しかし「元物理学生」に過ぎない音楽家の私は、このあたりでストップし、あとはツイッター上で、福島現地から頂くご質問などに、常識的な範囲で答えられることをお答えする、といった事で、少しでも不安を減らし、安全の確保に役立つよう努力するにとどまりました。

 無用の不安、恐怖は危険を増大します。これは『さよなら、サイレント・ネイビー』を始め、私のさまざまな本に繰り返し書いてきたとおりですが、恐怖などの強い情動にかられると、ヒトの脳は局所的に一種の酸欠状態になり、ものが考えにくくなります。例えば戦場で兵士が生命の危険にさらされると、極端に強い恐怖に駆られ、前頭前野の連合野と呼ばれるエリアの動脈血の血流量が減少、あまりものが考えられなくなるようになる減少が見られます。

 同時にこの「死の恐怖」に極度にさらされた状態で、兵士たちは性的欲求が極度に昂進する現象が知られています。戦場で兵士たちによる略奪やレイプが数多く報告され、戦後に国際軍事法廷が開かれ続ける生理的な一つの背景がここにあります。

 生物は個体の存在が危機に瀕したとき(つまり死の恐怖にさらされたとき)、自動的に種の保存に向けてスイッチがはいる、つまり恐怖に駆られた兵士がレイプの行動に駆り立てられる、という、ある意味大変に「生物学的に合理的」な反応ではあります。が、人間社会にあっては許されることではありません。この問題についてはアフリカのルワンダ共和国で、大虐殺(ジェノサイド)に関連しておきたこうした出来事について、ルワンダ国立大学医学部でセミナーを持ったことがあります。

 「アフリカのジェノサイドでのレイプ」は極端ながら判りやすい例として挙げましたが、一般に災害時などに、恐怖に駆られ正常な判断が出来なくなると、「意識の座」とされる前頭前野連合野などが十分に働かない状態で、多数の人がいっせいに、後からみれば「どうしてあんなことを・・・」と思うような行動に駆り立てられることが知られています。

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