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日本の金融政策には「支払いの経済学」が必要だ

量的緩和の分析に求められる、決済システムの理解

2012年8月7日(火)

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 2007年に始まった米国のサブプライム危機は、金融政策の中心を、「金利」から「マネーサプライ」へと変えた。この危機への対応として、米国の中央銀行にあたる連邦準備理事会(FRB)は、政策金利をゼロ下限までさげることを余儀なくされたのである。

 追加的金融緩和策としてFRBは大規模な銀行準備(中央銀行が国内金融機関に発行する当座預金)を供給した。このような銀行準備の供給増加を「量的緩和」と呼ぶが、本稿では近年発展した資産流動性の理論の観点からFRBによる量的緩和の効果を概説したい。

証券の市場流動性を悪くする要因

 ファイナンス理論では、証券の市場での売却のし易さをその証券の「市場流動性」(Market liquidity)と呼ぶ。証券のファンダメンタルズが高くても低くても、ファンダメンタルズがその証券の市場価格に反映されればその証券の市場流動性には影響を与えないはずだが、証券の市場価格がそのファンダメンタルズよりも低くなり証券の市場流動性が低下する場合がある。

 そのような状況の一つが証券の売り手と買い手の間で情報の非対称性がある場合だ。証券の売り手が、自分の保持する証券に関して証券の買い手よりも詳しい情報を持っている状況を考えよう。この場合、証券の買い手は自分が買う証券の質を区別できないので、質の低い証券を持つ売り手は、自分の証券を高値で売りつけようとする。それを見越して証券の買い手は市場で証券を買わなくなり、質の高い証券も市場での売却が難しくなる。

 証券の市場流動性が低下しうるもう1つの状況が、投資家がナイトの不確実性(Knightian uncertainty)に直面する場合だ。通常の意思決定モデルでは投資家が将来の出来事の発生確率に基づいて投資の期待リターンとリスクを計算し投資行動を決めるとする。しかし投資家が確率的に把握できない不確実性に直面した場合に、最悪のケースを考え行動する、とするのがナイトの不確実性の理論だ(「ナイト」の名は、理論を最初に提唱したフランク・ナイトにちなむ)。投資家が証券のリスクの評価を難しいと感じて投資資金をその証券から引き揚げれば、その証券を市場で売ることは難しくなる。

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