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「自分で考える」人材を渇望するトップの勘違い

三鷹光器の中村会長が教えてくれた「考えるヒント」

2012年7月31日(火)

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 「とにかくもっと考え抜いてほしい」――。

 そう部下に望む上司は多いことだろう。ある部品メーカーのトップもその1人。次の世代に任せる準備を数年前から始めたものの、考え抜くことをしない部下にいらだちを感じているという。
 
 「私も65歳を過ぎたんで、あとは若いやつらに任せたいと思っているんです。でもね、これが何とも難しい。考え抜くってことができない。考え抜くことができないから、決めることもできない。困ったもんです」

 考えるという作業は実に骨の折れる、しんどい作業ではある。目の前にある問題と、その先に起きるかもしれない新たな問題が入り乱れる中、手探りで答えを出さなくてはならない。

 考えれば考えるほど、「違うんじゃないか」と引っかかるし、不安にもなる。すると、ついつい思考停止ワードを使うことで、そのしんどさから脱却を図ろうとする。

 「コミュニケ―ションを良くする」「グローバルに展開する」「リーダーシップを発揮する」──。こういった世の中にあふれる、いわゆる“成功者”たちが用いる言葉は、思考停止ワードになりやすい。その一言を発した途端、本人も、それを聞いた人たちも、「確かにそうだ」と納得し、今そこにある問題が解決されたように錯覚する。その結果、考える作業がジ・エンドを迎え、考え抜くことがないままに流されていってしまうのだ。

 「人に答えを聞きにくるとか、ほかの会社のまねをするとかじゃなくて、自分自身の答えが見つかるまで考え抜いてほしいんです。それができないと、うちのような中小企業は命取りになりますから。中小は時代を先読みして備えないと明日はない。大手の発注を受けてから作るだけじゃダメ。それでは生き残っていけないんです」

 時代の厳しさをより敏感に感じる中小企業のトップだからこそ、「考え抜く」ことでしか生き残る道はないと余計に感じているのだろう。

すべての年代で考える力が問われる状況に

 一体いつから日本人は、考えることができなくなってしまったのか。

 小学校でも、「子供たちに考えさせる授業」が求められ、中学生の教科書は「考える力」を身につけさせるものであることが求められる。子供から大人まで、すべての年代で、考える力が問われている。

 数年前から思考力を鍛えるとか、考える力を高める研修などを取り入れる企業も増えてはいる。しかし、「研修を受けた時には、『なるほど』と思うんだけど、なかなか実戦の中で応用するのが難しい」という意見を耳にすることも多い。

 そこで今回は、「考え抜く」ということについて、考えてみようと思う。ホントに考え抜けるか不安ではあるが、できる限りやってみます。

コメント56件コメント/レビュー

SEはこれで体壊すんだよね。> お客さんに直接怒られるのは、どんなに厳しく上司から叱られるよりもこたえるから、イヤでも自分で何とかしようと責任感が芽生えるのだそうだ。 (2012/09/02)

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「「自分で考える」人材を渇望するトップの勘違い」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

SEはこれで体壊すんだよね。> お客さんに直接怒られるのは、どんなに厳しく上司から叱られるよりもこたえるから、イヤでも自分で何とかしようと責任感が芽生えるのだそうだ。 (2012/09/02)

根本的な問題として「自分で考える」人材が社会に必要とされているのか? 所属会社も建前でそう言ってますが、実務では出来の良い「歯車」しか求められていない。 役付き若しくは長年やってきた俺の意見が若輩の意見に劣る事は無い。故に俺の言ったとおりにやれ!お前が黒と思っても優れた俺の意見が白なんだよ! と若輩の頃は常日頃言われていました私は30前半。 この会社、昨年度は電力関連で過去最高益を出してましたね。(2012/08/29)

ここでもまた、同じ過ちが繰り返されていますね。考えさせるというのは、ある種拷問です。考えさせられるのは、常に、不愉快で苦痛なことなのです。その拷問にも等しい苦痛を、学校教育の中で、「考える力を伸ばす」というお題目で繰り返し強要されて子供たちが育てられているのです。その結果、大量の考えることの嫌いな子供たちが生産されています。 実はそれでも、自分で考えることは、子供たちにとっても大人にとっても、極楽なのです。 それは、例えば、小説を読むことです。或いは、ラジオを聞くことです。この瞬間に子供たちは、言葉という記号だけで、無限の映像を創作し、見たこともない世界を作り上げます。これが考えると言うことなのです。 「考える力を伸ばす」という拷問にも似た教育を先ずやめることです。 考えるとは、どんな状況であろうとも、心の中に、世界を描き出すことなのです。 思索とは、物語を紡ぐことなのです。 考えることが、まったき自発的情動でなければ常にそれは拷問に等しい苦役なのです。(2012/08/14)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長