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失われた20年、実は日本の生産性は成長していた

労働、資本、どこで効率が高まったか分析が必要

2012年8月23日(木)

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 「生産性」とは一般的に限られた資源を用いてどれだけ効率的に付加価値を生み出せるかを測る指標である。特に経済成長論では、生産性の成長は持続的な経済成長の源泉として考えられている。本稿では、マクロ経済データを用いて、日本の生産性を見てみよう。

 一般的に使われる「1人当たりGDP」とは、国内で生み出された付加価値生産の総額であるGDPを居住者数で割ったもので、居住者1人当たりの平均生産性ととらえることができる。そこで、まずOECD加盟国34カ国の1人当たり実質GDPを比較しよう。

 GDPと人口のデータは、米ペンシルバニア大学のアラン・ヘストン教授、故ロバート・サマーズ教授らが手掛けた「Penn World Table 7.1」を使うことにする。このデータは、それぞれの国の通貨の購買力平価(Purchasing Power Parity: PPP)で調整した実質GDPを算出している。PPP調整とは、それぞれの国における生産物が基準国(通常は米国)でどれほどの価値をもつかを考慮して、同一通貨(通常ドル)で表示するため、国際比較経済分析に広く活用されている。

1人当たりGDPでは17位

 表1の1列目は、2010年におけるOECD加盟国のドル建て実質GDPを各国の総人口で割ったものを、物価調整の基準年である2005年当時の円PPPレートで円建て換算をし、上から順にならべている。1人当たりGDPという基準で見た生産性では、ルクセンブルクが年間948万円で断トツの首位であり、これは、3位の米国の519万円の2倍近くだ。

 ただし、ルクセンブルグは税優遇措置のため金融機関など付加価値の高い国外企業の誘致に成功しただけでなく、人口が50万人ととても少なく、労働力の6割を隣接するフランス・ドイツ・ベルギーからの越境通勤者に頼っており、計算上国内居住者1人当たりの実質GDPが非常に高くなっているという背景がある。この12万5000人の越境労働者を国内居住者に含めた場合、ルクセンブルクの1人当たり実質GDPは757万円程度と下がるが、2位であるノルウェーの638万円よりもまだかなり高い。

 一方で、日本の一人当たりGDPは394万円で、OECD全体(平均382万円)の17位である。1991年には、ルクセンブルク、アイスランド、スイス、ノルウェー、米国に次いでOECD内で6位だったのが、1990年代の「失われた10年」を経て、じりじりと後退した。しかし、単純に1人当たりGDPを比較しただけでは、それぞれの国がいかに効率的に付加価値を生み出しているか見ることはできない。そこで、次に、「労働生産性」をみてみよう。

 「労働生産性」とは、GDPを総労働時間で割ったものである。総労働時間とは、総労働者数と労働者1人当たりの年間平均労働時間をかけた、国内の年間延べ労働時間のことである。従って労働生産性は、労働者1人が1時間当たりに生産できる付加価値を示している。以下で使う労働者数と労働時間のデータは、OECD統計から得た。なお、スロベニアの労働時間に関しては、OECD統計にデータが存在しないため、国際労働機関が公表している平均週間労働時間を年率換算して補っている。

表1.OECD生産性比較

コメント4件コメント/レビュー

ざっくり言って、生産性の上昇に見合うだけ総需要が伸びなかったからGDPはショートサイドの需要側で頭打ちになってしまい、労働投入(労働者数×労働時間)が削減されてた、と。こういうことですね。雇用や、家計の可処分所得の伸びが低迷するのは当然であったと。(2012/08/23)

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「失われた20年、実は日本の生産性は成長していた」の著者

大津 敬介

大津 敬介(おおつ・けいすけ)

英ケント大学経済学部講師

2001年3月、慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程を修了。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校経済学博士(Ph.D)。日本銀行金融研究所でエコノミストなどを経て2010年9月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ざっくり言って、生産性の上昇に見合うだけ総需要が伸びなかったからGDPはショートサイドの需要側で頭打ちになってしまい、労働投入(労働者数×労働時間)が削減されてた、と。こういうことですね。雇用や、家計の可処分所得の伸びが低迷するのは当然であったと。(2012/08/23)

かゆい所に手が届かない記事ですな。タイトルが刺激的な割には、GDPの成長率と生産性の成長率の比較、なんていう意味の無いことをやってるし。日本の国力が下がった原因は、コンピュータリテラシーの著しい低下です。これにより、生産性やGDPにも影響が出ているのです。(2012/08/23)

経済破綻したアイスランドの一人当たりGDPが日本以上という統計をどう考えるべきなのか。あの国では破綻以降生活も大変だと聞いているが、どうも納得し難い。GDPは国力を比較する尺度として一般的に用いられているが、一人当たりGDPが高いからと言って『暮らし易い(生活が楽)』は複数の国で1年以上暮らしてみると『違う』事を実感する。『衣・食・住』は生活する上で必須であるが、車の様なものは例えば公共交通機関が使い易く整備されていれば不要である。だから、衣食住のコストが低いと収入が若干低くても「生活が苦しい」とは感じない。日本は農産物でさえ多くの品目で自由化された、にも関わらず食料品はどの国よりも高い。衣料品は加工賃の安い国で生産される様になって外国より高いと感じる事は無くなったが、住宅はバブル崩壊後の今でも多くの国と比べて割高感は否めない。 土地の値段が下がると国内の資産総額が落ちてしまうので、統計上の数字が悪くなるため、国も不動産業者もこれ以上値下がりしない様気を使っているのだろう。夏の今、スイカ一個が安い店でも1000円、これは米ドルで13ドル程度だが、そんなに高価なスイカは全米を探しても見つからないだろう。 主食の米もかなり値下がりしたものの、アメリカや中国の同程度の品質のものと比べても桁違いに高い。統計上の数字を上げる事よりも実質の生活を楽にする事に国を上げて改革すべきだと思う。既得権を笠に着て改革に反対ばかりしていたら日本は本当に世界で『井の中の蛙』になってしまいそうです。(2012/08/23)

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