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日本の教養には「ナマコ」や「ヒトデ」が足りない

東京工業大学本川達雄教授×池上 彰 第1回

2012年8月30日(木)

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数学も、言葉である

池上:本川達雄先生は、ナマコやヒトデ、ウニなど棘皮(きょくひ)生物に関する研究者ですが、生物学を歌にしてしまう「歌う生物学者」としてテレビなどでも有名で、『ゾウの時間ネズミの時間』という大ベストセラーの著者でもいらっしゃいます。

本川 達雄(もとかわ・たつお)
生物学者。1948年生。東京大学理学部生物学科卒業。東京大学助手、琉球大学助教授を経て、1991年より東京工業大学教授。生命理工学研究科所属。ナマコやウニの研究をしている。著書に『ゾウの時間 ネズミの時間』(中公新書)、『生物学的文明論』(新潮新書)、『「長生き」が地球を滅ぼす』(文芸社文庫)、『サンゴとサンゴ礁のはなし』(中公新書)、『ナマコガイドブック』(共著、阪急コミュニケーションズ)、『ウニ学』(東海大学出版会)など。歌う生物学者としても知られ、CDや、CD付き受験参考書『歌う生物学 必修編』(阪急コミュニケーションズ)もある。ホームページはこちら
(写真:大槻 純一、以下同)

本川:ナマコにヒトデにウニ、この東京工業大学の校舎で今でも飼っていますよ、実験用に。実は、この池上さんのお部屋のすぐ裏手です。

池上:え、それは知らなかった! 本川先生、よく聞かれると思うのですが、ナマコやヒトデを飼っていったい何になるのかと……。

本川:ほんとうに何になるんでしょうねえ(笑)。おかげで、実学的なこの東工大で、思いっきり浮いております。

池上:いえいえ、むしろ生物学こそが、東工大の学生、ひいては日本人にとって、不可欠の「教養」ではないだろうか、というお話を、本日はうかがってきたいと思います。私も東工大リベラルアーツセンターの教授としてこの4月からこの大学にいて、「東工大にもっと教養を」がミッションでありますから。

本川:学問の教養については「役に立つ役に立たない」の議論がすぐにでてきますね。作家の曾野綾子さんが以前、こんな発言をされていました。

「学校を卒業してからというもの、因数分解なんて一度も使ったことない」

池上:その話、私も知っています(笑)。だから、因数分解なんか覚えなくてもいいんじゃないの、と。でも私は、曾野さんの論理的な思考力は、因数分解のような数学の論理に触れたから身についたものではないかと思うんですが……。

本川:まずですね、数学というのは、数字の羅列じゃありません。数学は「言葉」なんですよ。

池上:え、数学が言葉?

本川:はい、言葉です。

 人間は、言葉の世界に生きています。考えるとは言葉で考えることですよね。言葉をつらねて文をつくるのが考え。文の連ね方には2種類あります。

 ひとつは「イメージでつながっていく言葉」。もうひとつは「論理でつながっていく言葉」。普通の会話は、両方のつながり方が入り交じっています。でも文系、特に詩の言葉はイメージ中心ですね。それに対して、論理オンリーの言葉が数学や物理など理系の言葉です。数式を使い、まったく曖昧性なく、論理できっちりとつながっている言葉、これが数学です。

池上:なるほど、そういわれると、たしかに数学は「言葉」ですね。

本川:大半の人々は因数分解なんて社会に出たら使わないかもしれません。でも、今申し上げたように数学は世界を理解するための「論理の言葉」なんです。言葉なしに文明は成り立ちません。数学は言葉なんだ、と思えば、理系文系関係なく、みんなが勉強したほうがいい、ということがおわかりいただけるでしょう。

 論理にしてもイメージにしても「言葉」をうまく使えるようになること、それが教養を身につける、ということですから。

池上:いきなり結論が出てしまいました(笑)。言葉をうまく使えることが、教養を身につける、ということ。覚えておきます。

 問題はこの「言葉」の中身ですね。本川先生のお話ですと、イメージの言葉と論理の言葉、両方の言葉をうまくつかえないと、「教養がある」とはならなさそうです。たとえば、イメージの言葉だけで話すと……。

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「日本の教養には「ナマコ」や「ヒトデ」が足りない」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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