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「生物学こそは究極の教養である」

東京工業大学本川達雄教授×池上 彰 第6回(最終回)

2012年10月4日(木)

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池上前回、自然科学をそのまま受け入れて信じ込むのは宗教、本川先生曰く「ニュートン教」の信者になることだ、というご指摘がありました。

本川:ニュートン教では、科学はいつも進歩し、右肩上がりに事態は進行していきます。元には戻りません。資源が無限にあればこれでよいかもしれませんが、有限な世界では、このやり方では、いつか破滅するしかありません。地球が保ちませんから。持続可能性を言うなら、生物学や神道を、再評価する必要があります。

本川 達雄(もとかわ・たつお)
生物学者。1948年生。東京大学理学部生物学科卒業。東京大学助手、琉球大学助教授を経て、1991年より東京工業大学教授。生命理工学研究科所属。ナマコやウニの研究をしている。著書に『ゾウの時間ネズミの時間』(中公新書)、『生物学的文明論』(新潮新書)、『「長生き」が地球を滅ぼす』(文芸社文庫)、『サンゴとサンゴ礁のはなし』(中公新書)、『ナマコガイドブック』(共著、阪急コミュニケーションズ)、『ウニ学』(東海大学出版会)など。歌う生物学者としても知られ、CDや、CD付き受験参考書『歌う生物学 必修編』(阪急コミュニケーションズ)もある。ホームページはこちら
(写真:大槻 純一、以下同)

 ところで、結婚式を神道で挙げ、葬式は仏教で執り行う、というのが、よくあるパターンですよね。キリスト教徒に言わせれば、なんと節操のない、とあきれられるでしょうが、これには意味があると私は思っています。

 結婚式とは、子供を産む、つまりこの世の永遠への門出ですから、神道でやる。葬式とはあの世の永遠への門出ですから、仏教でやる。じつにつじつまがあっています。こうして、この世の永遠とあの世の永遠とを保証し、そうやって、私たちは安心して暮らしてきました。

 これは、ものすごく賢い宗教との付き合い方ではないでしょうか。

池上:そういえば、天皇家は生物学と直接縁がありますね。昭和天皇は相模湾の海洋生物を研究し、いまの天皇はハゼの研究者、秋篠宮はナマズの研究者、皇室を離れられた黒田清子さんも山階鳥類研究所で鳥の研究をされていました。

本川:皇室が生物学とかかわりが深いというのは、必然性があるのではないかと、私は勝手に感じています。天皇は、この世の永遠の祭司でもありますから。

池上:生物学こそは究極の教養である、ということが本川先生の話を聞いているとつくづく実感されます。

本川:ええ。生物学は理系文系にかかわらず必修科目だと思っています。生き物とは、生命とは何かを考える、ということは、例外なく全ての人に必要ですから。

抽象度の高い科学のほうがえらいのか?

池上:理系の東工大には受験科目に生物がありませんね。高校で物理と化学を選択しなければ、東工大入学の道は開かれません。

本川:工業大学の入試科目に生物がないのは、当然と言えば当然でしょう。でも、東工大には生命理工学部もあるので、そこは問題ですが。

 高校時代に物理と化学だけを学んで入学した学生にこそ、教養としての生物学を学んで欲しいですね。ところが最近はまったく履修してくれません。将来の仕事に直接関係ある授業以外は履修せずに、効率よく卒業しようという傾向が、近年、どんどん強くなってきています。

 私の講義は、我ながら面白いことをやっていると思いますよ。昔は人気があって、100人は履修してくれたのですが、どんどん減って、今や10人。最終回なんて生バンドを入れて歌う生物学の演奏会をやるんですけどねえ。

池上:その授業、私が受けたいです。しかしせめて、受験の選択科目に生物を加えて、生物でも東工大を受験できるようにならないでしょうか。

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「「生物学こそは究極の教養である」」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長