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経費削減という“錯覚”と「使い捨て社会」の暗鬱

人件費の削減が長期的には企業の競争力を低下させる事実を直視せよ

2012年9月4日(火)

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 経営者の方たちとお話をしていると、暗たんたる気分になることがある。「雇用は絶対に増えない」――。そう思ってしまうのだ。

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 ストレートに明確な言葉を聞いたわけじゃない。ただ、「人材じゃなく、人財なんですよ」という言葉を聞くたびに、「ごくごく一部の優秀な人が欲しいだけで、それ以外はいらないというのが本音なんだろうなぁ」なんてことを思わずにはいられない。

 だって二言目には「グローバルな人材でなきゃ、これからはダメだよ」というセリフが続くし、「タイやベトナムの人材は優秀」などと、低コストで雇えるアジアなどの外国人の魅力についても大いに語る。

 挙句の果てに、「最近は大学を出ても仕事に就けないっていうけど、そもそも全入時代でしょう。大学生の質が低下しているんだから仕方がない」なんて辛口のコメントまで出る始末……。

 野田佳彦首相は就任時の所信表明演説を皮切りに、「分厚い中間層の復活」を何度も繰り返し主張しているが、このままだと日本も米国と同様に、1%の富裕層と99%の貧困層という極端な2極化へと突き進んでしまうような気がしてならないのである。

大卒者の5人に1人が安定的な職に就いていない

 最初から矢継ぎ早に懸念を記したが、それには訳がある。先週に発表された文部科学省の学校基本調査の速報値に「やっぱりそうなんだ」と、気分が重くなったのだ。

 非正規労働に4万人 新卒調査「正社員になりたい」

 これは、この調査の結果を紹介した8月28日の日本経済新聞電子版の記事に付けられた見出しである。内容は以下の通りだ。

 「文部科学省が27日公表した2012年度の学校基本調査速報で、今春の大学卒業者のうち、契約・派遣社員やアルバイトなどの雇用期間に限りがある非正規労働に就いた人が、計4万人を超えることが分かった。(中略)
 同調査によると、週30時間以上働く派遣社員や契約社員などになったのは2万2千人。アルバイトなどの一時的な仕事と合わせ、非正規で働く新卒は4万2千人に上る。
 非正規でも仕事に就ければいい方で、内定を得られないまま今春卒業し、就職活動を続けている人は少なくとも新卒者全体の9%弱にあたる4万9千人に上る」

 さらに、これらの数字をまとめてみると、進学も就職もせず、あるいはアルバイトなど一時的な仕事に就いた例と合わせると、卒業者の22.9%が「安定的な雇用に就いていない」ことになる。文科省の担当者は「ほとんどの学生が正社員として社会に出たいと望んでいるはず。安定的な職に就いていない人が5人に1人もいる状況は改善するべき課題だ」と話しているという。

コメント86件コメント/レビュー

経営者が、非正規雇用をコストとしか見ないというケースもあるのでしょう。一方で、自宅を担保に入れながら、雇用を守る経営者もいます。河合氏であれば、ビジョナリーカンパニーについてはご存知だと思いますが、かつて、働きやすいと言われた会社も衰退していきました。企業に体力があるから、労働者が働きやすいのか、労働者が働きやすいから企業の体力が増すのか。この因果関係を冷静に分析しなければ、払えもしない待遇を単に求めて、企業をつぶすことになりかねません。JALはそういう企業でしたし、労働者をこき使う小売や飲食も充分に企業として存続し、労働者天国だったJALよりも社会に貢献してきました。物事はそんなに単純ではありません。(2012/10/31)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「経費削減という“錯覚”と「使い捨て社会」の暗鬱」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

経営者が、非正規雇用をコストとしか見ないというケースもあるのでしょう。一方で、自宅を担保に入れながら、雇用を守る経営者もいます。河合氏であれば、ビジョナリーカンパニーについてはご存知だと思いますが、かつて、働きやすいと言われた会社も衰退していきました。企業に体力があるから、労働者が働きやすいのか、労働者が働きやすいから企業の体力が増すのか。この因果関係を冷静に分析しなければ、払えもしない待遇を単に求めて、企業をつぶすことになりかねません。JALはそういう企業でしたし、労働者をこき使う小売や飲食も充分に企業として存続し、労働者天国だったJALよりも社会に貢献してきました。物事はそんなに単純ではありません。(2012/10/31)

経営者が、非正規雇用をコストとしか見ないというケースもあるのでしょう。一方で、自宅を担保に入れながら、雇用を守る経営者もいます。河合氏であれば、ビジョナリーカンパニーについてはご存知だと思いますが、かつて、働きやすいと言われた会社も衰退していきました。企業に体力があるから、労働者が働きやすいのか、労働者が働きやすいから企業の体力が増すのか。この因果関係を冷静に分析しなければ、払えもしない待遇を単に求めて、企業をつぶすことになりかねません。JALはそういう企業でしたし、労働者をこき使う小売や飲食も充分に企業として存続し、労働者天国だったJALよりも社会に貢献してきました。物事はそんなに単純ではありません。(2012/10/30)

権力を握る人の法則?あの方の主張は日本っぽいけど、そもそもアメリカの実験が日本に当てはまるの?とは思う。時代的にも。  その主張ならウォルマートはとうの昔に潰れてますし、飲食・宿泊業は立ち行かなくなります。※この業界の平均年収は247万(H22国税庁HPより)(2012/09/28)

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