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第21話「連中はオマエがどうするか、必死の形相で見ているぞ。器量が試される」

2012年9月18日(火)

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 満田の携帯が鳴った。

 片岡だった。

 「ちょっと話、できるか」

 「おう、カタオカ・コーポレーションの社長殿か。
 がっぽり儲けているか?
 今どこにいるんだい」

 「いつものホテルのコーヒーショップだ。すぐ来てくれ、待ってる」
 どうしたのか、片岡は声をひそませるようにしてささやきかけた。

 ホテルには人影がまばらで、昼下がりのコーヒー・ショップでは、床まである大きなガラス越しに太陽の光がさんさんと差し込んでいた。馴染みのウエートレスが満田の姿に気づいて微笑む。軽く会釈を返しながら、目は片岡を探していた。隅っこに小さく座っていた。

 満田が近づくと、

 「すまん」

 片岡は半ば腰をあげて、頭を下げた。これまでの長い付き合いで、こんな動作をしたことなど一度もなかった。

 「どうしたんだ、オマエ」

 そう言うと、満田は注文をとりに来た若いウエートレスを振り返って微笑みかける。

 「あ、髪型変えたんだね。それもいい。前の長いのも良かったけれど、今度の短いのも、とっても素敵だ」
 と言ってから、

 「失礼。こんなこと言っちゃって。
 えーと、ダージリンのセカンド・フラッシュ、今日は7分と10秒で頼むよ」
 と注文した。

 ウエートレスは、「わかりました?」
 とほんの少し首をかしげて一瞬だけ笑顔をつくった。すぐに仕事の顔に戻ると、
 「430秒、っですね」
 と復唱してからスキップするような足取りで離れていった。

 「いいねえ、若いってことは」
 満田が言い終わる間もなく、片岡が口を開いた。喉の奥から絞りだすように、
 「やられた。
 俺が馬鹿だからだ。
 社長に申し訳ない」
 そう言って、頭をがっくりと垂れた。左右の手の指がそれぞれの膝頭を握りしめている。

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長