• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「もはや幻想?」 日本のものづくりも損なう“生産性命”の愚行

創造性や組織力を高める「無駄な時間」を許す余裕を取り戻せ

2012年9月11日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「最近やたらと、ものづくりニッポンとか何とか言うでしょ? あれって、幻想だと思うんです。今の現場で新しいものなんて生まれない。ものづくり幻想を現場に押しつけるのは、勘弁してほしいです」

 ものづくりニッポン。ものづくりの力を再強化することが、日本が生き残る道。今やものづくのり力が、日本を救う救世主のようにさえ扱われている。パナソニック、ソニー、シャープ、NECなど、日本のものづくりをリードしてきた電機メーカーが経営危機に陥る中、「ものづくり力」という文字が新聞の紙面を飾ることも多くなった。

 そんなものづくり信仰なるものを「幻想」と呼ぶ人たちがいる。

 自動車部品メーカーに勤める45歳の男性もそうだった。

 「新しいものっていうのは、長年作り続けたり、研究し続けたりしているうちに生まれる。それなのに、今の職場では長期雇用は保証されていないし、短い期間しか籍を置かない契約社員も増えています。マーケットリサーチを徹底すればいいってものでもない。その時代に流行っているものを取り入れればいいというものでもない。それに、新しいことって、遊びでいろいろやっているうちに見つけたりする。こんな余裕がなく遊びのない職場で、『ものづくり力を高めろ!』と言われても、と思いますよ。ものづくりには遊びが必要なんです」

経産省のビジョンで示された「ものづくり力」の定義

 「ものづくり」という言葉が頻繁に使われるようになったのは、2005年に経済産業省が「ものづくり国家戦略ビジョン」を掲げ、「ものづくり力の強みを活かすことは、我が国が抱える課題を克服する有力な方策」と断言したことが契機の1つになった。

 その中でものづくり力なるものを定義しているのだが、それを見るとかなり複雑な気持ちになる。

 例えば、ものづくり力を、「技能、技術、科学の3つの要素が結合したもの」と考えられるとし、以下の3点を挙げている。

(1)いわゆる技能を用いて既存の製品や生産プロセスを改善・改良する力
(2)既存の技術及び技能を改善・改良して、あるいは新たに組み合わせて新製品・新サービス・新プロセスを作る力
(3)新しい科学理論をベースとした技術や、異分野の知識を融合させ、全く新しい新製品・新サービス・新プロセスを作る力

 ん? これって奇しくも前述の男性が、「今の職場から失われた」と言っているもの、そのものではないだろうか。

 (1)(2)はまさしく、「長年作り続けたり、研究し続けたりしているうちに生まれる」ということだし、(3)の「異分野の知識」を得るには、役にたつのかどうかも分からない、様々なものに触れる時間的余裕が必要となる。

 現実には、「ものづくり力」と定義されている力を培う環境が失われつつあるにもかかわらず、「ものづくり力の強みを活かせ!」という声ばかりが大きくなっているのだ。

コメント69

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「「もはや幻想?」 日本のものづくりも損なう“生産性命”の愚行」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員