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被災者の支援は、「仮設住宅」より「空き家」活用で

市場には「在庫」があふれている、早急に現金支給への転換を

  • 宇南山 卓

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2012年10月5日(金)

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 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、各地で大きな被害をもたらした。国民の復興への関心は高く、2011年度だけで10兆円規模の予算が投じられたが、依然として復興に向けた動きは鈍い。

 多くの復興支援策が停滞している中で、迅速かつ大規模に実施された被災者の生活再建支援策が「仮設住宅」の提供だ。震災1週間後には約3万戸の建設計画が策定され、10ヶ月後には5万戸以上が完成している。住宅の提供は生活再建の出発点でもあり、意義のある事業に見える。それに対し、本稿では、筆者が経済産業研究所で手がけた研究に基づき、仮設住宅による被災者支援を批判的に再検討したい。

 仮設住宅が大規模に建設されるのは東日本大震災が初めてではなく、1995年に発生した阪神淡路大震災でも半年間で約5万戸が建設された。想定を超える大規模な自然災害に対しても迅速に対応が可能なのは、仮設住宅が「災害救助法」に基づいて供与されているからである。この法律は、災害対応をマニュアル化したものであり、緊急時の政府の意思決定の基礎となる。しかし、法が規定しているのはあくまで応急処置であり、「住宅の供与」という観点からはベストな枠組みではない。

空き家の活用に立ちはだかる「現物主義」

 特に、災害救助法の「現物支給の原則」が、適切な住宅再建支援の障害となっている。この原則は、例えば、避難の費用を現金で支給するのではなく、避難所や非常食そのものを提供するものだ。現物でなければ対応できない事態こそが災害救助法の対象であるから、現物主義には一定の合理性はある。しかし、災害後の混乱がある程度収まってから供与される住宅にこの原則を適用し、プレハブ住宅で供与することには問題が多い。住宅のようにニーズが多様で、耐久性が高く、費用が固定的なものの場合、現物で供与すると大きな非効率性が発生するからだ。

 まず問題の1つは、仮設住宅の建設場所や間取りが被災者のニーズとはほぼ無関係に決まることである。好立地におけるプレハブ建設用地の確保は権利関係の複雑さや時間的な制約などのため困難であることが多く、あまり便利ではない市街地外の場所に建設されることも多い。そのため、誰も入居を希望しない仮設住宅がしばしば発生する。また、多大なコストをかけて建設するのに、原則2年で取り壊すことになるのも非効率だ。

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