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バランス感覚から見る「ノーベル賞の品格」

歴史に学んで変化の風を読む(番外編2)

2012年10月19日(金)

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 いやはや、実に典型的と思いました・・・何のことか? ノーベル賞です。以前『日本にノーベル賞が来る理由』という新書を出したところ、この季節は毎年、新聞、雑誌やテレビ、ラジオから、ノーベル賞関連の取材がくるのが年中行事化しているのですが、例えば今年のノーベル平和賞は典型的な「バランスのノーベル賞」だと思うわけです。

 EUに出されたノーベル平和賞の授賞理由は「60年以上にも及ぶ欧州の平和、(紛争対立の)和解調停、民主主義そして人権の推進に対して"for over six decades contributed to the advancement of peace and reconciliation, democracy and human rights in Europe".」というものです。EU、欧州連合を通貨統合などで成立している単に国の連合体と見るなら、その本質を見誤ると思います。それは、有史以来えんえんと対立とりわけ暴力戦争を繰り返してきた欧州内部に、経済を出発点としながら、恒久的な平和と人権の確立を、という崇高な使命を謳って打ち立てられた一つの理想の具現化。EUとはそういう存在にほかなりません。

EUが人権に懸ける情熱

 EUを基礎付けるのは欧州憲法条約です。その本文に解説を付した衆議院のホームページをリンクしておきましょう。この本文からI―2条「連合の価値」を引いてみると

 「連合は、人間の尊厳、自由、民主主義、平等、法の支配、少数者である人々の権利を含む人権の尊重の諸価値を基礎とする。これらの価値は、多元主義、無差別、寛容、正義、連帯および男女平等が優越する社会にある構成国に共通するものである。」

 とあります。実際、EU本部は人権擁護の活動に大変なエネルギーを使っています。私自身も昨年6月、震災から3カ月目に入った頃でしたが、EU本部の招聘でドイツ国内の長期刑務所などを巡る国際対話行事に参加し、独房の中で収監者と話し合ったりしてきました。

 これは死刑存置国の学識経験者や芸術家、報道人に声をかけて行われた国際対話で、日本からは読売新聞の田中史生記者と私の2人が呼ばれたものでした。ここではいろいろ面白い話がありまして、例えばドイツでは長期「自由刑」の刑務所で独房の鍵を収監者自身が持っていたりする、どうしてかというと、ほかの収監者が勝手に入ってきてプライバシーを侵されてはいけないから・・・といった具合で、あらゆる考え方が日本の常識と違っているのですが、日本は震災復興・原発事故の状況で、いまだこれについてまとまった話を書く機会を得ていません。

 実は昨日もローマから突然電子メールがあり、EU本部からの推薦があり10月29日、イタリア文化会館で行われる人権関連の会合でピアノを弾いて話をしてくれないか、という依頼がありました。EUはその存在を懸けて少数者の保護・権利擁護など、多様な人権の問題に取り組んでいます。

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