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ゲーム理論で読みとくコンビニの立地戦略

データ推計で他社の行動を予測する

2012年11月15日(木)

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 筆者は研究のかたわら、競争戦略論(Competitive strategy)をMBA(経営学修士)の学生に教えている。この科目は、経済学における「需要と供給の価格理論」と「ゲーム理論」をベースにした経営戦略論である。講義とケースディスカッションを通じて将来の経営幹部に伝えるメッセージは、ゲーム理論は、現実のビジネスでかなり実践的なツールになりうる、ということだ。

 実際、少数のプレイヤー間の戦略的な相互依存関係はビジネスの身近な場面でよく見られるためか、ゲーム理論の応用例に対する生徒の関心は低くない。ゲーム理論は、現実の複雑な問題を簡単化することで、データとモデルの橋渡しをしてくれることすらある。今回は、ゲーム理論で考えるコンビニエンスストアの店舗立地戦略について、取り上げてみたい。

戦略的な店舗立地の組み合わせを考えてみよう

 日本のコンビニエンスストアは、「ドミナント戦略」と言われるように、ある地域に複数の店舗を高密度で展開しているケースが多く見られる。コンビニ店舗をどの場所にどれだけの数を出店していくか、という問題は、コンビニエンスストア本部にとって重要かつ難しい問題である。その難しさの原因の1つは、店舗位置はほぼ無限といっていいほど可能性があるという点だ。

 例として、ある3キロメートル四方の正方形状の街を考えよう。この街の面積は3×3=9平方キロメートルである。単純化のため、コンビニ2社が1キロ平方メートル エリア単位で店舗参入を決定するとしよう。各社はその街に9つある1キロ平方メートルエリアのそれぞれについて出店するかどうか決める。つまり各社は全部で9つのマス10の数字(0か1)を選ぶと考えることができる。0は店舗なし、1は店舗ありである。

 この街における店舗立地の組み合わせ数はどれだけだろうか。

 まずコンビニ1社にとって店舗立地の組み合わせ数は、2の9乗(エリア数)、すなわち512通り となる。次にコンビニ2社の店舗立地の組み合わせ数は約26万通り(=512×512)にものぼる。ゲーム理論ではナッシュ均衡をモデルの予測として扱うことが多いが、どの立地が「ナッシュ均衡」なのかをひとつずつ調べて解くことは困難だ。

 ナッシュ均衡とは、すべてのプレイヤーが、相手の行動を所与として自分がベストな行動を選んでいる状態である。現実には3キロメートル四方以上の街が多いわけだから、実際にはもっと計算上の負荷の高い問題となってしまうだろう。

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「ゲーム理論で読みとくコンビニの立地戦略」の著者

西田 充邦

西田 充邦(にしだ・みつくに)

米ジョンズ・ホプキンス大学助教授

1999年京都大学総合人間学部卒業、同年通商産業省(現経済産業省)入省。2009年米シカゴ大学から経済学博士号(Ph.D.)取得。米ジョンズ・ホプキンス大学経済学部を経て2010年から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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