• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「悪いのは自分……」 部下が上司の“奴隷”と化す瞬間

職場の問題を悪化させる周囲の「傍観者」効果

2012年11月20日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「すべての社員が、家に帰れば自慢の娘であり、息子であり、尊敬されるべきお父さんであり、お母さんだ。そんな人たちを職場のハラスメントなんかでうつに至らしめたり、苦しめたりしていいわけがないだろう」

 これは厚生労働省が設置した「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」のワーキンググループが今年の初めに提出した報告書の最後に書かれていた言葉である(報告書の詳細は、本コラムの記事「年下上司にパワハラした50代男性の“悔恨”と会社の“不作為”」でも取り上げているので、関心のある方はぜひご覧ください)。

 何度この言葉を見ても、「その通り」だと思うし、重たい言葉だと感じてしまう。

 でも、もしパワハラを受けている本人が、本当は苦しいのに、それを苦しみだと認知できない心の複雑な動きがあるとしたならば……。引き返すことのできない、最悪の事態に陥ってしまう可能性がある。

 「僕、パワハラに遭っていたんです。でも、渦中にいる時って、そうは思えないんです。変な例えかもしれませんが、ドメスティック・バイオレンスを受ける人の気持ちが分かるような気がしました」

 これは先日にお会いした男性がこぼした一言である。

 「転職のことで相談に乗ってほしい」と、知人経由で頼まれ、あれこれと話すうちにこう打ち明けられたのだ。

 これまでにもパワハラ問題については、何回も取り上げてきた。だが、彼の話を聞いて、少しばかり反省するとともに、改めてパワハラ問題の難しさを痛感した。

 パワハラが単なる言葉の問題ではなく、ココロの問題であるが故に生じる、「パワハラがパワハラでなくなる人間の心理の複雑さ」への着眼が欠けていたのだ。

 厚労省によれば、都道府県労働局に寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は、2002年度の約6600件から、2010年度には約3万9400件と急速に増加。日常の様々な法的トラブルの解決を支援する日本司法支援センター(法テラス)のコールセンターには、パワハラに関する相談が、今年4~7月だけで1400件以上寄せられ、昨年度1年間の3230件を上回るペースとなっている。また、ひどい嫌がらせ・いじめ・暴行などで労災の認定を受けた件数は昨年度に40件、そのうち自殺が3件あった。

 パワハラはいつ何時、誰もが加害者にも被害者にもなり得る極めて難しくもあり、微妙な問題である。

 そこで今回は、「パワハラの難しさ」について、改めて考えてみようと思う。

コメント30件コメント/レビュー

パワハラは難しい問題です。受け手の「心の筋肉」の強さによって、同じ事を別の人間にやってもパワハラとは感じない場合があるからです。ストレス耐性の個人差と、画一的なマネジメントしかできない上司とのミスマッチがパワハラを発生させているように思います。ですから、部下1人ひとりに対峙して個性に合わせたマネジメントができれば良いのでしょうが、たくさんの部下を持つとなかなかそうも行かないというのが現実だと思います。そういうことを上司が認識した上で、もしストレスを感じたならシグナルを送ってくれというように、マネジメントの不完全性を部下達に事前にアナウンスした上で業務遂行していくと多少は違うかも知れません。過度にパワハラを意識してしまうと、大胆な組織運営が出来なくなるなどのジレンマに陥り、自分自身がストレスにやられてしまうこともあり得ます。単純ですが、仕事のなかでも、雑談などを交えてコミュニケーションを取りつつ、自分というものを理解してもらうのと、部下の個人的なストレス耐性を察知しておくというのをやっておくと互いのストレス耐性を高めるワクチンになるかも知れません。(2012/11/21)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「「悪いのは自分……」 部下が上司の“奴隷”と化す瞬間」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

パワハラは難しい問題です。受け手の「心の筋肉」の強さによって、同じ事を別の人間にやってもパワハラとは感じない場合があるからです。ストレス耐性の個人差と、画一的なマネジメントしかできない上司とのミスマッチがパワハラを発生させているように思います。ですから、部下1人ひとりに対峙して個性に合わせたマネジメントができれば良いのでしょうが、たくさんの部下を持つとなかなかそうも行かないというのが現実だと思います。そういうことを上司が認識した上で、もしストレスを感じたならシグナルを送ってくれというように、マネジメントの不完全性を部下達に事前にアナウンスした上で業務遂行していくと多少は違うかも知れません。過度にパワハラを意識してしまうと、大胆な組織運営が出来なくなるなどのジレンマに陥り、自分自身がストレスにやられてしまうこともあり得ます。単純ですが、仕事のなかでも、雑談などを交えてコミュニケーションを取りつつ、自分というものを理解してもらうのと、部下の個人的なストレス耐性を察知しておくというのをやっておくと互いのストレス耐性を高めるワクチンになるかも知れません。(2012/11/21)

とある力仕事を、女性新入社員にはさせずに自分でやった上司がいました。以前にその女性に同様の力仕事をしてもらおうとしたときにできなかったからです。ところが後日、その女性の親御さんから、「娘に仕事をさせないとは何事か!」とお怒りの電話がありました。この女性新入社員とその親御さんにとっては、この上司の行動がパワハラに当たると判断されたようです。実際に仕事を干すのはパワハラの一種と定義もされています。▼これはパワハラなのでしょうか?部下(女性新入社員)に問題がなく、上司にのみ問題があるのでしょうか?パワハラに対して加害者側が一方的に悪いということは、このような事態を引き起こしかねません。(2012/11/21)

会社の収益構造に起因するケースと、能力の欠如や教育体制の不備に起因するケースと分けて論じる必要があるかと。イジメの構造に照らして問題を取り上げておられますが、『パレスチナ問題は国際社会の制止にもかかわらず何故平和的解決がみられないのか?』という比喩が頭に浮かんで来ましたよ。(2012/11/21)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

お客様が低価格に慣れてきている。

片岡 優 ジェットスター・ジャパン社長