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JALの機内で起きたブチ切れ事件で問う“現場の力”

タクシー運転手の対応に見たベテランの価値

2012年11月27日(火)

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 もう昔の話ではあるけれども、客室乗務員(CA)にとって最も悩ましい問題として挙げられるものに、飛行機内での音とにおいがあった。

 泣きやまない赤ちゃんの声に、「子供を降ろせ!」とクレームを言うお客さんはいたし、日本人には嗅いだことのない独特なにおいを醸し出すスパイスらしきものを機内食に混ぜて食べる外国人の団体に対して、「〇〇人は日本の航空機に乗せるな!」と怒鳴られたこともある。

 先週、ネットで物議を醸した“機内で泣き叫ぶ赤ちゃん事件”。それにブチ切れた漫画家のさかもと未明さんだけでなく、ほかのお客さんも、赤ちゃんのお母さんも、誰もが、それぞれの立場でジレンマと苦悩と同情で感情が割れ、必死だったんじゃないだろうか。

 そして、CAたちも……、かなり大変だったはずである。

 そこで今回は、「現場の力」について考えてみようと思う。

「飛び降りる!」と言って着陸前に出口に走った

 まずは、“事件”について知らない方のために、PHP Biz Online 衆知(Voice)に掲載されてネットで注目を集めた、さかもとさんによる「再生JALの心意気」と題した記事の内容を簡単に振り返っておこう。

 “事件”は、松山発羽田行きの日本航空(JAL)1466便の中で起きた。機内に同乗していた乳児が、搭乗してからずっと泣き通しだった。どんなにCAや母親が必死にあやしても、一向に泣きやむ気配はない。乗り合わせたお客さんたちのほとんどは、「言い聞かせて何とかなる年齢ではないし、仕方ない」と思っているみたいだったそうだ。

 だがさかもとさんは、逃げ場所のない密閉された空間で、泣き叫ぶ声を聴かされ続けたことに堪えられずにブチ切れた。「もうやだ、降りる、飛び降りる!」と、着陸準備中にもかかわらず席を立ち、出口に向かって走った。そして、その途中で赤ちゃんの母親に「あなたのお子さんは、もう少し大きくなるまで飛行機に乗せてはいけません。赤ちゃんだから何でも許されるというわけではないと思います!」と告げたのである。

 着陸後も、さかもとさんは怒りが収まらず、地上係員にクレームを言い続けた。

 「あなたとこれ以上、話しても埒が明きません。形だけ、『申し訳ございません、努力してまいります』とか頭を下げても、どうせ何もしないでしょ? 私は、『頭を下げさせて溜飲を下げて終わり』なんてことでは納得しません。クレームをつける以上は、自分の名前を出して責任を持ちます。だから結果を出してほしい」と言い放ち、航空法や飛行機の現状を確認すべく、JAL広報に取材を申し込んだという。

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「JALの機内で起きたブチ切れ事件で問う“現場の力”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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