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「乱世の時代」に突入した現代日本を覆う“世間の圧力”

世界遺産・下鴨神社で『方丈記』から考える(2)

2012年12月20日(木)

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鴨長明が『方丈記』を書いてから800年。その晩年に暮らしたという庵「方丈」の現代版を建築家の隈研吾氏が、世界遺産である下鴨神社の敷地内に建てました。その現代版・方丈を前に、隈研吾氏と養老孟司氏が語り合います。鴨長明が生きた乱世の時代が、現在の日本や世界に共通する点とは? 後編をお楽しみください。

前回から読む)

養老:鴨長明の生きた時代って、僕、一番関心があるんですね。歴史学者は中世と呼びますが、ああいう時代ってあんまりないんですよ。

 長明は平安時代の末期に生まれて、鎌倉時代の初めに60歳あまりで亡くなっていますが、鎌倉の前の源平の時代を通って、室町時代、そして戦国時代までが、言ってみれば乱世の時代ですね。乱世とは「身体の時代」だと僕は言っているんですけどね。それが過去の日本のどこにつながるかというと、弥生じゃなくてたぶん縄文時代につながる。

:養老先生のおっしゃる縄文性とは、どの辺りなんですか。

養老:それは、もののとらえ方ですね。

 平安時代の中期、つまり世の中がそこそこ安定して、都というものができた時の、その「都会」とは、隈さんみたいな人たちが、頭で考えて作るものですね。だから、人々の動き方もやっぱり頭が中心になっているんですけど、鴨長明の時代は身体が中心になっている。乱世ってそういうことなんですよ。

:人間、生命にかかわると必死になります。乱世って、必死になるという感じがありますよね。

養老:そう、とにかく体を使って何とかしないといかんと。しかも、石油もなければ石炭もないわけだから。煮炊きするにも薪が必要で、という時代です。その意味では、素朴な時代です。

 ただ、「乱世」という言葉自体は、平和な時代の人が見て言っているだけのことだから、乱世に暮らしている人はそれが乱世だと実は思っていない。

:ただ、自明のものとして。

養老:戦国時代に「下克上」なんていう言葉ができてから、戦国という意識も武士の当たり前になっていくんです。

 で、そういう時代に何が考え方の中心になるかというと、まさに「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」でね。今、若い人がすぐ会社を辞めちゃう、なんて年寄りがぼやいていますが、そんなところにも案外、こういう考え方があるんじゃないかな。

平成は乱世の時代か

:平成と言いながら、今は結構、乱世的になってきているんですかね。

養老:まあ、若い人がすぐ会社を辞めるのは、逆に「自分はこうあるべき」と、自己を固定しちゃっているから、ということも考えられますよね。自分で勝手に設定した自己像に、少しでも仕事が合わない、となったら辞めるとか。

:乱世的な元気の表れで辞めるんだったら応援のしがいもあるけれど、平安貴族みたいに、順応できなくなって辞めていくとしたら、ちょっとまずいんじゃないか、とは思いますよね。

養老:仕事が僕には合わない、なんて思っちゃうのか、それとも自分が成長して考え方が変わってきて、あ、これはやめた、と、別のところに行くのか。後者ならむしろ結構なことだけどね。

:両方いるんじゃないですか、やっぱり。

養老:ただ、一昔みたいに、野心を持って企業社会の上に上っていく、ということが、それほど価値のあることと見なされなくなった今、自分自身の快適さや必要性を充足させれば十分という考え方は、若い層にかなり出てきていますよね。

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「「乱世の時代」に突入した現代日本を覆う“世間の圧力”」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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