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「好きなことを仕事に!」 “天職信仰”に駆られる若者の不幸

仕事やキャリアは現在進行形で考え方や価値観は常に変わっていく

2012年12月11日(火)

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 学生たちと接して感じること。それは、彼らが“オトナ”たちの想像を超える純粋さと、真面目さと、敏感なセンサーを持っているということである。

 「『好きな仕事をしなさい』って母にずっと言われてるんですけど、どうやったら好きな仕事を見つけられるんでしょうか?」

 「最初はあまり考えないでとりあえず就活を始めたんですけど、好きな仕事ができる会社に入りたいという思いが強くなったので、1年留年して来年もう1度就活やります」

 「成功するためには、やっぱり好きな仕事をすることなんだと痛感しました」

 これらはいずれも就活中、あるいは就活を控える学生たちが語ったことである。中にはキャリアカウンセラーらしき人から、「この仕事が好きだという強い思いが内定につながる」とアドバイスされ、「好きな仕事が見つからないから、内定が取れない」と悩んでいる学生もいた。

「好きな仕事探し」のプレッシャーに押し潰される若者たち

 好きなことをする―─。

 「どうせ働くなら好きなことやった方がいいし、働くってことは結構しんどいことなので、好きなことであった方がいいに決まっている」

 恐らく多くのオトナたちが、自らの経験に基づいてこう思うからこそ、「好きなことをしなさい」とアドバイスをするのだろう。

 そんなオトナたちの一言が、若い世代に重くのしかかる。

 素直な彼らは、「好きな仕事=自分に合う仕事」と考え、必死で好きな仕事を探し、オトナが感じ得ない、「好きな仕事探し」のプレッシャーに襲われる。

 自分が彼らの年齢の時には、もうちょっと世間を斜めから見たり、反抗心のようなものがあったりした気がするのだが、「おお! そこまで素直に受け止めてしまうのか!」と感嘆してしまうほど、素直に、そして敏感にオトナの言葉に翻弄されているのだ。

 でも……。そもそも好きな仕事って何なんだ?

 「好きな仕事=自分に合う仕事」って? そうなのだろうか? 少なくとも私にはそう思えないのだ。

 それに、“好きな仕事探し”シンドロームのようなキャリア教育を受けることは、ホントにその後のキャリア人生に役立つのだろうか?

 いや、それ以上に好きな仕事探しを必死にして、実際に幸運にも「好きな仕事」ができそうな会社に就職できたことが、余計に仕事への適応の妨げになり、早期の離職につながっているんじゃないか、などとも思ったりもする。

コメント80件コメント/レビュー

皆さんのコメントが多く、読まずに感想を書き込ませて頂きます。養老さんの講演を思い出しました。ある地方に行かれた際に、通りがかりのハローワークの垂れ幕に『きっとある。君にあう仕事』というのがかけられており、たいへん違和感を感じられたそうです。探究心という好きが嵩じて解剖学に進まれた結果の養老さんの仕事が、学生実習用の遺体を学生の数だけ集める為に、ご遺族を訪ね、弔問とともに了解を頂いてまわることだったそうです。私自身、物分りのいいオトナを演じている部分があり、採用活動において学生に対してもっともらしいアドバイス、世の中こうであったらを伝えていた反省があります。憲法に保障されている『職業選択の自由』ですが、権利意識の乱用を感じています。生活保護受給者のうち、働く能力と意欲はあるが、の働かない理由にも今回の話は通じていると感じています。今時、たこ部屋でもあるまいしと思わざるを得ません。(2012/12/19)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「好きなことを仕事に!」 “天職信仰”に駆られる若者の不幸」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

皆さんのコメントが多く、読まずに感想を書き込ませて頂きます。養老さんの講演を思い出しました。ある地方に行かれた際に、通りがかりのハローワークの垂れ幕に『きっとある。君にあう仕事』というのがかけられており、たいへん違和感を感じられたそうです。探究心という好きが嵩じて解剖学に進まれた結果の養老さんの仕事が、学生実習用の遺体を学生の数だけ集める為に、ご遺族を訪ね、弔問とともに了解を頂いてまわることだったそうです。私自身、物分りのいいオトナを演じている部分があり、採用活動において学生に対してもっともらしいアドバイス、世の中こうであったらを伝えていた反省があります。憲法に保障されている『職業選択の自由』ですが、権利意識の乱用を感じています。生活保護受給者のうち、働く能力と意欲はあるが、の働かない理由にも今回の話は通じていると感じています。今時、たこ部屋でもあるまいしと思わざるを得ません。(2012/12/19)

「好きな事だと、あまり苦しまずに努力出来る」に反論されたのでコメントですが、絶対的は話ではなく相対的なものである事。好きでもない事が簡単に努力できるのか?モチベーション。心の燃料の問題でもある。誰にでも苦しまずに努力できる程度だとして、他人より有利に仕事できるものですかね?より好きで出来る奴と競争になるから結局、好きか、努力出来るか、能力があるか、生活の手段と割り切るかの兼ね合いで選び、選ばれるしかないのかと。(2012/12/17)

まさに「学生のキャリア支援」の仕事をしています。そうなんですよね。「好きなこと」とか、「やりがい」とか…。追いかけますよね。担当していた学生の中で芸人さんにインタビュー(「仕事と私」といったテーマ)に入った人がいます。彼女が、「好きなことを仕事にできていいですね~」といったら、「それは違うよ。好きなことはきっかけになっていたけど、これを仕事にしよう!と覚悟を決めて選んだ以上、『どんなに辛いことがあってもこの仕事を選んで良かった。この仕事が好きだと思えるように努力しよう』と考えて、力を注いでいるんだ」といわれ、ショックを受けて帰ってきました。「好きなものを選ぶんじゃなくて、必死に好きになることが大事なんですね!」「やりがいや好きなこと、条件がしっくり来ないと仕事や職場が選べない」という学生には、「大学選びはどうだったの?」と投げかけています。「周囲の環境もよく、人間関係もいい感じでイケそうで、絶対学びたい科目があって、それを理想の先生が教えてくれる。もちろん課外活動も充実! そんな大学はどこ?」 そんなふうに探していたら、学校、見つからないよね? でも、今、そこそこ楽しんでいるし、存在すら知らなかった科目の単位を取ったり、むしろ面白いと感じたりしているよね? 仕事だって似てない? わかる学生はわかってくれます。(2012/12/17)

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