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日本も米国も直面する少子高齢化経済の「崖っぷち」

動学一般均衡世代重複モデルによる米国経済分析から政策を考える

  • 西山 慎一

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2012年12月20日(木)

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 日米経済は2つの共通の問題を抱えている。1つ目は、政府の財政収支の急速な悪化だ。政府債務は、個人の債務と異なり、完済する必要はないが、増え続ければ最終的に、国債利払いが税収を上回ってしまう。したがって、国債利払いを除いたプライマリーの収支を数年以内に黒字にし、債務残高・国内総生産(GDP)比率を安定させる必要がある。

 米国では、ブッシュ政権時代の減税政策の期限が2012年末に切れ、財政コントロール法による歳出削減が予定通り発動すれば、プライマリー収支は2010年代後半には黒字に転じると予測されている。しかし、現実には、フィスカル・クリフ(財政の崖)と呼ばれる急激な増税・歳出削減策の景気への悪影響を懸念する声が大きく、2012年12月半ば現在、オバマ大統領と共和党幹部の間で妥協点を探って議論が続けられている。

 2つ目は、少子高齢化による中長期的なマクロ経済の停滞と財政収支の悪化だ。65歳未満のいわゆる労働力人口の比率が低下し、国民1人当たりのGDPや所得税収の伸びが抑制され、同時に高齢者に対する社会保障年金・医療保険支出が相対的に増加する。もし、高齢化の財政負担を増税によって賄うとすれば、将来のマクロ経済に対する影響はさらに深刻なものとなる。この少子高齢化の問題も、日本の場合、出生率低下の度合いが非常に大きく、米国の場合、1人当たりの保健・医療コストの伸びが高いなどの違いはあるが、日米両国に共通で、早急な対策が議論・検討されるべきものである。

 本稿では、米国における2つ目の問題、つまり米国の少子高齢化が(米国の)マクロ経済と政府財政にどの程度の影響を及ぼすか、について米国社会保障局(SSA)の人口推計・予測と動学一般均衡モデルを組み合わせて試算した結果を紹介する。短期的な財政収支に関する分析は、別の機会に紹介する。本稿で米国の高齢化のケースを取り扱うのは、筆者が現在米国の機関に勤務しており、データが入手しやすくモデルを作りやすいためだが、上に述べたとおり、高齢化の問題は日米で共通するので、本稿の試算結果は、日本国民・政府が少子高齢化にどのように対処すべきかについて、なんらかの示唆を与えるものと思う。本稿の結びで、日本経済についても少しコメントしたい。

分析にあたる前提条件と試算方法は…

 やや技術的になるが、本稿の試算には、異なる多数の家計からなる動学一般均衡・世代重複モデルと呼ばれるマクロ成長モデルを用いる。このモデル経済では、他の動学モデルと同様に、家計(消費者・労働者)は「合理的」であると仮定する。たとえば、高齢化によって将来、増税が予想されるとすれば、家計は老後のための貯蓄を増やし、必要に応じて退職を送らせるなどの形で、政策の変化に対応する。

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