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トムとジェリーが同じ番組を見られるか?

生物の認知のメカニズムを考える

2013年1月16日(水)

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 前回、テレビに映る石破幹事長にアタックする猫の話題から、生物の脳認知の問題を考えました。私は1999年に招聘があって現在のラボ(東京大学作曲指揮研究室)を始めたのですが、ある時期以降、困ることがあり、音楽にまつわるサイエンスの局面を極力表に出さないようにしてきました。

 というのも、音楽の文脈で私をご存知ない方(が世の中では圧倒的に多いわけですが)に科学者と誤解されることで、さまざまな弊害、支障が出て来たからでありました。今年は『なぜ猫は鏡を見ないか』という本なども出し、このあたりの交通整理をすべて済ませ、技術の力も使いながら突き詰めた音楽の仕事をする全体像を発信してゆくことになり、関連の話題をご紹介するようにしています。

名医の勘があれば検査は要らないか?

 私は一貫して現場で音楽を作る人間ですが、直感に頼る仕事には限界もあります。世の中ではどちらかというと耳の立つほうとして、現場で何でも反射的に処理してきましたが、だからこそ限界を強く感じるのです。

 喩えて言えば、江戸時代の名医が脈やらなにやらで診断を下す、その8割が合っていたとしても、残り2割は外れるわけですよね。そういう限界。現在の医療で言えば問診、触診、打診などで大方のことがわかったとして、それでよしとするのか、自分の直感を疑う慎重さも持ち合わせて、血液検査やレントゲンなども撮っておくか、どちらか?という問いと同じものと思います。

 私はかなりこと細かに耳を使う方(というか、うるさくて煙たがられる方)ですが、でも、やはり、直感だけでものを言うことを避け、客観的な実証を重要に考えます。大きな理由の1つは録音にあるんですね。というのは、ライブでどれだけみんなが優れた演奏をしても、のっぺりとした録音でつまらないことになってしまう、という経験を、20代から30代にかけてかなり多くしてきたので。また、オペラなどで演出に予算を割くような場合にも、客観的なデータが1枚あるのとないのとで、いろいろな判断に違いが出てくるということもあったりします。

 名医の勘があれば、検査は要らないか?とたずねられたら、医者の立場でも患者の立場でも、念のために、セカンドオピニオンではないですが、きちんと見ておくほうがいいのでは、と思う人が多いのではないでしょうか?

 音楽の仕事も同様です。世の中では音楽家でない人が関連企業で相当の責任をもち、山勘で判断決済して成功したり失敗したり、という事例を見ますが、プロの芸術の耳は圧倒的に強く、これと補い合う適切な客観指標があって、優れたものが生み出されてゆく。今日の音楽家はだれもメトロノームやチューナーを使いますが、だからといって耳を使わないわけではない。そんな明日のメトロノームやチューナーのようなものに関わる仕事も、大学では一貫して続けてきたもので、そんなお話から紹介しているわけです。

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