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脅威になり始めた新興国企業の展開力と研究開発力

自社の競合を見定め、提携も含めた対応策を立てよう

2013年1月28日(月)

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 「ChotuKool」という名前の超低価格冷蔵庫がある。ちょっとクールということで、まるで日本語のようだが、ヒンズー語で、インドのゴドレジ(Godrej)社が69米ドル(約6210円)程度の値段で販売している商品だ。これは、従来の低価格冷蔵庫の半分以下の価格である。

 主として、電気がない、あるいは、電力供給が不安定な地域の、月収150ドル(約1万3500円)以下の層に向けたもので、見た目は、屋外バーベキューやキャンプに持っていく中型のクーラーボックスに似ている。30リットルという基本容量(43リットルの大型もある)からも、クーラーボックスそのものと言っていいだろう。

 交流240ボルトだけでなく、直流12ボルトでも稼働するので、バッテリーにつないで使うことも可能。冷蔵庫とはいうものの、外気温マイナス20度に内部を保つという程度の冷却・温度維持能力だ。

 この製品が、インドの地方事情と消費者ニーズにマッチし、ヒット商品になっている。家庭で野菜や飲み物を入れるという用途だけではない。例えば、屋外のマーケットで野菜を売る女性にとっては、夕方までに商品がいたみ、投げ売りするというリスクを減らす効用があるし、これを1台買って、冷たい飲み物の行商をする人もいる。

 機能を絞り、超低価格を実現するための技術(温度コントロールチップ、高機能保温素材、特殊な構造のフタなど)を組み合わせることで、零細ビジネスを始めたり、その収益性を向上させたりすることも可能にしたわけだ。

 一言で新興国といってもその消費者ニーズは様々だし、同じ国の中での幅も驚くほど大きい。先進国企業がなかなかつかめない現地のローエンド消費者ニーズを理解し、必要なカスタム化を行ってヒット商品を生んだ好例だと思う。

新興国企業が自国以外の新興国でも伸長

 さて、このゴドレジという会社は、ChotuKoolというアイデア商品の一発屋ではない。ご存じの方も多いだろうが、1897年に創立されたインドの名門企業で、消費財から産業財までグループの年間売上高は約3000億円、かつ海外売上比率が26%というグローバル企業である。

 最近では、新興国ほど現地ニーズを的確につかんで商品開発を行う必要があるということから、アフリカ各国で現地マネジャーに大きな権限を与えて、ヘアケア製品などの販売をどんどん伸ばしている。

 こと新興国市場においては、欧米多国籍企業にとって、かなり脅威となるようなチャレンジャーに育ってきた企業なのだ。

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「脅威になり始めた新興国企業の展開力と研究開発力」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官