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何年も浪人して難関大学を目指すのは、割に合うのか?

2浪、3浪すれば確かに偏差値は上がるのだが…

2013年2月5日(火)

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 大学受験シーズン、今後、進学先について難しい選択を迫られることになる親子もいることだろう。大学教育を経済理論から捉えると、「人的資本の投資」である。ならば、大学教育にはそれなりにリターンがなくてはいけない。受験戦争まっしぐらで突進して、とにかく頑張って努力すれば志望校に合格できるという「頑張リズム」が奨励される一方で、大学受験に取り組むための膨大な投資が果たしてペイオフするかという問題意識は弱いかもしれない。金融には、投資に対するリターンを示す指標として収益率という考え方がある。ここでは、収益率を教育投資に当てはめることで、そのメカニズムについて分析したい。

 大学教育は人的資本への投資である。人は、大学を出て、将来何らかのベネフィットを得ることを期待する。投資であるが故に、収益率が正でなくてはならない。ベネフィットには金銭的なものと非金銭的なものが含まれるが、収益率の推計では比較的扱いやすい所得がリターンの指標としてよく使われる。つまり大学収益率がプラスになるということは,大卒者の所得が比較対象となる高卒者の所得を上回ることを示す。事実、過去の研究から推計された大学収益率は平均して7~11パーセント程度高卒者より高くなっている(ただし男子の場合)。なお,この収益率は大学教育一年間に対してのリターンを示すので,仮に収益率が10%だった場合,(四年制)大学の卒業者の所得は高卒者に比べると平均して40%ほど高くなるということを意味する。日本の大学教育が良い投資であることを強く裏づけている。

低偏差値の収益率は2.5%、高偏差値は15.6%

 さて、次に受験戦争の構図を合理的に考えてみよう。言うまでもなく、受験に挑む学生とその親にとっては、より良い大学を卒業することが将来社会的地位を高めることになるという暗黙の前提条件がある。この前提条件について良い大学を偏差値の高い大学、社会的地位を所得に置き換えて考えると、大学偏差値と所得に正の相関があるという関係が成り立つはずだ。それでは,実際にそうなっているだろうか?著者が2004年と2007年に発表した論文のハイライトを紹介しよう。

 この研究には、1995年の「社会階層と社会移動全国調査」(以後SSM調査)を使っている。SSMの質問表では大学卒業者に出身大学名と出身学部を聞いている。この情報を使って出身大学を偏差値に置き換え、所得データを使って収益率を推測している。女子のサンプル数が少ないという問題もあり、男子のサンプルのみを使った。

 まず収益率の平均値は、7.9パーセントであった。次に、出身大学の偏差値別に見ると、低偏差値(39)の大学では、収益率2.5パーセント、一方で高偏差値(70)の大学では15.6パーセントとなり、実に6倍の開きがあることが確認できた。

 偏差値別に見てこれほど収益率に幅があることはまず、現実問題として全ての大学が平等ではないことを強く物語っている。惰性で大学に進学し、あまり深く考えずに人並みの大学に進学したとしても収益率はとりあえずプラスになるので、大学受験は良い投資に映るかもしれない。だが一流大学から得られるベネフィットは比較にならないくらい大きい。大学全入時代といわれるように、今では誰でも大学に入れるようになった。しかしトップの大学への志願者数は減らず依然として受験戦争が過熱しているのは、このような一流大学の銘柄効果が大きく働いているからであろう。

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「何年も浪人して難関大学を目指すのは、割に合うのか?」の著者

小野 浩

小野 浩(おの・ひろし)

米テキサスA&M大学准教授

米テキサスA&M大学社会学大学院准教授。1999年、米シカゴ大学社会学博士(Ph.D.)。ノーベル賞経済学者であるゲーリー・ベッカー米シカゴ大学教授に師事。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官