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震災復興、絆の復活は至難のわざ

阪神大震災被災地になお残る「ソーシャル・キャピタル」崩壊の傷跡

2013年3月11日(月)

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 「いつになったら元の生活に戻れるのだろうか・・・。」 

 東日本大震災が東日本に甚大な被害を及ぼしてから2年が経ったが、まだまだ多くの被災者が仮設住宅に住んだり、故郷から離れた土地で慣れない生活を送ったりしている。雇用の面でも被災地では建築関連の求人が増加しているが、雇用のミスマッチのせいなのかなかなか雇用関係の成立までにつながらない。震災で職を失った多くの被災者はまだ求職中だ。

 これだけ大きな災害に見舞われたのだから、被災地が完全に復旧・復興するのに長い年月を必要とすることは誰もが承知している。しかし、いつになれば震災以前の普段の生活の戻るのか。それがわかる何かタイム・ラインみたいなものが欲しい。そろそろ東日本大震災の長期的な影響を議論する時期にきている。

 その議論のガイドラインとして、私を含む研究グループ(大竹文雄大阪大学教授、奥山尚子大阪大学助教、安井健悟立命館大学准教授)は、18年前に発生した阪神・淡路大震災のその後に注目した。発生から長い年月を経た今、被災者は震災以前の生活に戻れたのかどうかを、独自のオンライン・アンケート調査から探った。アンケート調査は2012年3月に実施した。震災発生してから17年後の状況と震災直前の状況を比較したのである。

 もちろん、阪神・淡路大震災と東日本大震災では、災害の規模、二次災害の種類、被災地の産業構造や人口分布、時代背景など相違点は多い。したがって、阪神・淡路大震災からの復興過程がそのまま東日本大震災の復興過程に当てはまるとは我々も考えていない。しかし、時代背景があまり変わらない程度のタイミングに発生し、かつある程度の長期的な影響を検証するのに耐えうる年月が経った大震災となると、阪神・淡路大震災しか考えられない。

 被災地における阪神・淡路大震災からの復興過程をたどることで、東日本大震災の復興にかかる時間をできるだけ短縮できるような長期的ビジョンを描くのに、少しでも役に立てればと思う。

東日本大震災復興を実現するためのビジョンを探る

 我々は公式に被災地域と認定された10市10町(神戸市、明石市、三木市、洲本市、芦屋市、西宮市、尼崎市、宝塚市、伊丹市、川西市、津名町、淡路町、北淡町、一宮町、五色町、東浦町、緑町、西淡町、三原町、南淡町)に震災当時住んでいた人だけを調査の対象者とした。そして、被災したグループと被災しなかったグループの生活水準の推移を比較することで、震災の長期的な影響を分析した。

 注目した変数は、年間所得と個人が有する「ソーシャル・キャピタル」(社会関連資本)である。ここで言うソーシャル・キャピタルとは、近所や友人との付き合いを意味し、時間的コストと金銭的なコストを費やしてコミュニケーション能力を養った結果、その投資のリターンとして人々の交流から得られる幸福度と解釈する。

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「震災復興、絆の復活は至難のわざ」の著者

佐々木 勝

佐々木 勝(ささき・まさる)

大阪大学経済学研究科教授

大阪大学大学院経済学研究科教授。ジョージタウン大学でPh.D(経済学)取得。世界銀行、アジア開発銀行、関西大学、大阪大学社会経済研究所を経て2011年4月から現職。専門は労働経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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