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変化適応力を高めるため代替シナリオの用意を

リジリエンス向上が日本企業にとって喫緊の課題

2013年3月11日(月)

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 この記事が公開された本日は、2年前に東日本大震災が起きた3月11日だ。

 いまだに数多くの方々が避難所生活を余儀なくされ、復旧・復興を加速させる必要性が語られ続けている。

 大変な思いをされておられる方々に思いを向けることに加え、我々がなすべきことは、
─「想定外」を減らすための真摯な努力
―それでも起こった時の被害の最小化
 であろう。

 これは、自然災害に社会としてどう立ち向かうか、だけではなく、様々な強烈な変化に企業としてどう立ち向かうか、という課題についても、全く同様だと思う。

 中期計画や長期ビジョンを作る会社は数多い。その際、企業を取り巻く環境については、一定の前提を置いたメインシナリオを作成する。「メイン」シナリオというと、別のシナリオもあってよさそうなものだが、大抵はメイン1本に基づいて、計画が作られる。

 中には、中期計画ができた後で、売り上げや為替の変動が起こった場合に財務上の健全性が保てるかどうか、いわゆるストレステストを行う企業もある。この場合も、数値目標の変数を入れ替える程度で、シナリオ自体を複数作るというわけではない。

 以前にも申し上げたように、環境変化のスピード、インパクト、そして不透明さは今後もさらに高まり、継続する可能性が高い。だからといって、すべてのシナリオを網羅することは不可能だし、意味もない。

 こういう中、メインシナリオ以外に、「一定の発生確率があり、しかも業界や自社にとって甚大な影響が(プラス・マイナス両方向で)起こる」シナリオを1、2本作るだけでも、変化適応力は大いに高まるはずだ。

 この「メインシナリオ」以外のシナリオを作る際には、普段は見落としがちなリスク要因にも目を配り、それらを考慮に入れることが大事だ。そのためには、ビジネス以外の世界にもアンテナを立てておくことが必要になる。

新たに加わった「リジリエンスを国レベルで高める」視点

 ダボス会議を主催する世界経済フォーラム(World Economic Forum)から、今年もグローバルリスクについてのリポートが出された ("Global Risks 2013")。毎年、世界中の政府、学会、ビジネス、NGO(非政府組織)などのリスク専門家の協力を得て、世界を取り巻くリスクの現状と考えるべき対策について提言するリポートだ。メインシナリオ以外のリスク要因を把握するうえで、なかなか役に立つ情報源の1つなので、ご紹介しておきたい。

 今年のリポートは、リスク低減という観点だけでなく、リスクが顕在化した際に対応し復元できる力=リジリエンス(resilience)を国レベルで高めるという視点が加えられていて、興味深い。

 経済、環境、(統治システムの)ガバナンス、インフラ、社会構造、の各領域について、5つの視点からリスク対応・復元力の点でどのような課題があり、何をなすべきか、各国政府は早急に検討すべきだ、という提言だ。

 5つの視点とは、

  1. ロバストネス(Robustness=堅牢さ)
  2. リダンダンシー(Redundancy=機能喪失時にカバーできる重複性)
  3. リソースフルネス(Resourcefulness=臨機応変さ)
  4. レスポンス(Response=即応性)
  5. リカバリー(Recovery=回復力)

である。

 度重なる自然災害の経験から、日本はそれぞれの視点でかなり進んだ仕組みを構築しているが、サプライチェーン(供給網)をはじめとした日本企業の活動範囲のグローバルな広がりを考えると、自国だけでなく様々な国でのリジリエンス向上は、日本企業にとっても喫緊の課題だ。

 自社でできることをいくら行っても、進出先や仕入れ元の国のシステムが脆弱なままでは、様々なリスクイベントへの対応力向上に限界があることは言うまでもない。そういう意味で、リジリエンスについて、進出先、特に新興国の政府と議論を重ねることは価値がある。また、企業自身も、これらの視点で自社のリスク耐性を時々見直すことも必要だろう。

コメント2件コメント/レビュー

日本の良いところは、白書や計画・シナリオなど文書をまとめることが非常に上手なところ。悪いところは、作るヒトと実行するヒトと対象となるヒトが結びついていない、すなわち現実にならないところ。(2013/03/11)

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「変化適応力を高めるため代替シナリオの用意を」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本の良いところは、白書や計画・シナリオなど文書をまとめることが非常に上手なところ。悪いところは、作るヒトと実行するヒトと対象となるヒトが結びついていない、すなわち現実にならないところ。(2013/03/11)

シナリオの用意はともすると機転の放棄にも陥りかねないと思います。「シナリオ」という枠組でいくつか準備することも大切ですが、「シナリオから外れるというシナリオ」は用意できません(どのように外れるか想定し尽くすことは難しい)。そういった際に何を重視して判断するかの価値基準の明確化・共有ができていることが大切なのではないでしょうか。(2013/03/11)

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