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「“誇りの空洞化”が最大の問題」 フクシマの村長が語った苦悩

それでも川内村の再生に向け人口を震災前の1.7倍に増やす覚悟を示す

2013年3月12日(火)

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 「ただ単に自分の故郷、我が家に戻ることなのに、どうしてこんなに難しいのか。そんな思いばかりが募った1年でした」

 昨年1月末に、「戻れる人から戻りましょう!」と帰村宣言を行った福島県川内村の遠藤雄幸村長の重たい一言を直接聞いたのは、2カ月ほど前。今年1月にテレビの報道番組に出演した時に初めてお目にかかり、川内村の“今”を語っていただいたのだ。

 「原発って、私が考えている以上に、福島の方たちの人生をめちゃくちゃにしたのだなぁ」と何とも言えない暗澹たる気持ちになった。遠藤村長が紡ぎ出す言葉の一語一句が、とてもとても重く、そのすべてが、私の想像をはるかに超えていたのである。

 生活すること、働くこと、生きること……。どれもこれも決して特別なことではない。なのに、「どうしてこんなに難しいのか」という遠藤村長の言葉には、悔しさといら立ちがあふれていた。

一気に何十年も進んだ川内村の高齢化と過疎化

 生活するためには仕事が必要だし、仕事は私たちの生活と共にある。

 そこで今回は、「被災地の仕事」について考えてみたい。とはいえ、私は自分に仕事があり、被災して今なお苦しむ方々とはあまりに異なる境遇にいるので、どこまで本質を捉えられるか、いささか自信がない。

 東日本大震災が起きてから昨日で丸2年。被災地という言葉で1つにくくることへの抵抗もある。川内村の中でも、村民の一人ひとりに異なる事情だってある。だが、必死に思いを巡らせてみるので、読者のみなさんもぜひ一緒に考えてください。

 川内村は、その全域が東京電力・福島第1原子力発電所から30kmの範囲にあり、2011年3月16日に村長の指示のもと、自主的に福島県郡山市に「全村避難」をしている。

 その後、緊急時避難準備区域に設定されていたが、2011年9月30日に解除され、2012年1月に帰村宣言が出された。

 現在、全村民3000人の約4割に相当する1200人が帰村し、帰村者のうち6割超を50代以上の中高年層が占める。災害はそれまで見えなかった社会構造の問題点を顕在化して加速させると言われているが、川内村でも震災と原発事故を機に、村の高齢化と過疎化の針が一気に何十年も進んでしまったのだ。

コメント31件コメント/レビュー

福島原発から30kmを少々超えた所に住み、川内村の遠藤村長の言動は日頃から関心を持っていた一人です。遠藤村長はいたずらに被害者意識にのみ陥ることなく、被災後の復興の方向性を具体的に表明してきた人です。が、農山村の復興が一番難しいのが現実だと思います。生活基盤の産業が産出するものが、商品として評価されにくい環境にあるからです。その意味では、放射能被災が一日でも早く風化して、「フクシマ」を世間に忘れて貰いたいと考えているのではないでしょうか?「誇りの空洞化」の意味は正直よくわかりません。相当意味が深いのだと思います。只、客観的に見て、いかに故郷でも所詮は各人がそれぞれの時期に集まってできている里です。この災害を契機にして、それぞれが別の道を模索し選択せねばならなくなった訳です。村の復興は可能な限り如何に今までいた人を繋ぎ止めるか、或いは新しい機会を作り新規な呼び寄せをどうするか、なのだと考えます。遠藤村長は、明確にその案が見いだせないから、「誇りの空洞化」と言ったのかもしれません。私にはそう想像するしかありません。筆者に期待することは、必要以上に抽象化したり、感傷的になったりしないで、現実に接することを期待します。(2013/03/17)

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「「“誇りの空洞化”が最大の問題」 フクシマの村長が語った苦悩」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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福島原発から30kmを少々超えた所に住み、川内村の遠藤村長の言動は日頃から関心を持っていた一人です。遠藤村長はいたずらに被害者意識にのみ陥ることなく、被災後の復興の方向性を具体的に表明してきた人です。が、農山村の復興が一番難しいのが現実だと思います。生活基盤の産業が産出するものが、商品として評価されにくい環境にあるからです。その意味では、放射能被災が一日でも早く風化して、「フクシマ」を世間に忘れて貰いたいと考えているのではないでしょうか?「誇りの空洞化」の意味は正直よくわかりません。相当意味が深いのだと思います。只、客観的に見て、いかに故郷でも所詮は各人がそれぞれの時期に集まってできている里です。この災害を契機にして、それぞれが別の道を模索し選択せねばならなくなった訳です。村の復興は可能な限り如何に今までいた人を繋ぎ止めるか、或いは新しい機会を作り新規な呼び寄せをどうするか、なのだと考えます。遠藤村長は、明確にその案が見いだせないから、「誇りの空洞化」と言ったのかもしれません。私にはそう想像するしかありません。筆者に期待することは、必要以上に抽象化したり、感傷的になったりしないで、現実に接することを期待します。(2013/03/17)

毎回愛読させていただいております。「帰れる人から帰ろう」の呼びかけが最初にあった頃、一時帰宅していた方々の複雑な心情が放送されたことがありました。「家があるところは警戒解除されたけど、仕事場(畑)は警戒区域内なんだ。仕事なしで帰ってどうする」「生活水源は警戒区域内にある。水が確保できないのに生活なんてできない」生命活動を営むための最低限のものが確保できない環境のまま、「解除した地域から帰ってください」というのは、なんとも乱暴というかいい加減というか…村長のお気持ちも心意気も本当のものと思いますが、それゆえに、安易に警戒解除した行政に憤りを感じてしまいます。(2013/03/14)

「原発事故で奪われ」のくだりは筆者のミスプリントでしょう。地震と津波が正しいのですから。原発事故がなかったら復興はずいぶん違う形にはなったでしょうけど。(2013/03/14)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長