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将来に向けて“Fund the journey”の思考プロセスを

「正しい」ガバナンスが招く悪循環を断ち切る

2013年3月25日(月)

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 英語に“Fund the journey(ファンド・ザ・ジャーニー=旅に投資せよ)”という言い回しがある。企業の構造改革のような長い道程(journey)を全うしていくために、必要なキャッシュをまず捻出し、それを再投資する(この捻出・再投資がfund)という好循環を作る、という意味だ。海外ではよく聞かれる言い回しだが、日本でもこれ(ないし日本語化した同様の言い方)がごく普通に聞かれるようになる必要があると思っている。

 例えば、企業が既存分野の低成長・利益率低下に襲われ、新しい成長分野に軸足を移していくといったケースを考えてみよう。

 新分野を伸ばしていくには、投資が不可欠だ。研究開発、生産設備拡張、営業体制構築、マーケティング、あるいは「人」。こういったものにキャッシュを投じていかなければ、軸足を移すほどの成長はおぼつかない。

 しかし、これはたいてい単年度の収益悪化をもたらす。株主ガバナンスの強化という流れは、経営規律をもたらすというメリットがある半面、年度ごと、場合によっては四半期ごとの収益が厳格に管理され、収益悪化は許されなくなるという側面も存在する。

 もちろん、論理的には、「将来成長に向けた前向き投資」であれば、株主、市場の理解が得られるはず、なのだが、なかなかそうはいかない。

一見「正しい」ガバナンスが障害に

 既存分野の業績不振が続いてきた企業だと、今まで期待を裏切ってきたこともあり、簡単には信用してもらえない。何より、将来のキャッシュはまだ「絵に描いた餅」であり、足元の収益悪化は「現実そのもの」だから。

 さらに、既存事業悪化という前提に立つと、格付けや財務余力という観点から、思い切った資金調達が簡単にはできない、という状況になっていることも大いにあり得る。

 また、複数事業を有するコングロマリットの場合だと、内部ガバナンスの仕組み自体がこの傾向を助長することも多い。各事業部門の年度計画・予算を達成していくためには、できる限り「無駄な金遣い」を減らしていくことが必要だ。

 これ自体は正しいのだけれど、事業環境が悪化している分野だと、気をつけないと将来投資をとにかく避け、成長のタネを仕込むことをしなくなってしまう。事業部門長にとって、自分の任期より後に花を咲かせるようなキャッシュ投資をするインセンティブが下がってしまうわけだ。

 予算必達、厳しい部門長業績評価、という一見「正しい」ガバナンスの仕組み自体が、短期志向、足元のコスト削減策の追加投入、将来に向けた投資欠如という悪循環につながる、というケースである。

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「将来に向けて“Fund the journey”の思考プロセスを」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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