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「競争しない奴はいらない!」 中小企業“切り捨て”社会の行く末

淘汰ではなく共生を実現した英国に学ぶ支援策のあり方

2013年4月9日(火)

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 今回は、「日本の未来」について考えてみようと思う。何とも壮大なテーマなのだが、それ以外にいい言葉が見つからなかった。なので、とにかく未来を考えるってことで、よろしくお付き合いください。

 4月1日から関西電力が企業向けの電気料金を引き上げたのに伴い、工場の運営が難しくなったとして、京都府内の野菜工場が同日から休業に追い込まれたという報道があった。

 休業したのは、京都府南丹市にある「園部町野菜工場」。18年前に国などの補助を受けて完成し、季節や天候に関係なく安定して生産できることを売りに、「ナトリウムランプ」と呼ばれる照明器具を使ってレタスやサラダ菜を生産。年間25トンを出荷してきた。

 昨年度の電気代は年間でおよそ900万円。ところが今回の値上げで、今年度の電気代の見込みが1090万円余りとなる。

 これ以上の節電は厳しく、かといって値上げ分を野菜の価格に転嫁できないことなどから、休業を決めた。従業員6人は全員解雇された。

その番組に出演していた楽天の三木谷社長はどう感じたか

 私はこの報道を夜のニュース番組で知ったのだが、直前のコーナーで楽天の三木谷浩史社長が生出演していただけに、何とも言葉にしがたい気分になった。

 三木谷さんは、休業に追い込まれた野菜工場をどう思っただろうか?

 190万円のアップに耐えきれずに淘汰されていく企業を、そして解雇された6人の従業員のことを、彼はどう感じたのだろうか。

 TPP(環太平洋経済連携協定)などの自由貿易や規制緩和の推進、企業の国際化、常に成長を続けることの重要性を番組では熱く訴えていたけれど、190万円のコストが捻出できなかった零細企業をどう思ったのか?

 「経営者の責任」と言われてしまえばそれまでなのだが、政府の産業競争力会議の民間議員として発言力を強めている方だけに、何と答えるのか聞いてみたかった。

 しかも番組では、日本航空(JAL)の華々しい入社式の映像も報じていた。

 年額190万円のコスト増加に対応できずに休業に追いやられる中小企業がある一方、2兆3000億円もの債務超過に陥りながらも、わずか3年で再建する大企業。強い者が守られ、弱き者は淘汰される。

 事情がどうであれ、日々資金調達に奔走する中小企業の経営者の方や、納期の短縮を求められて長時間労働を強いられている町工場の方たちを取材させていただいたことがあっただけに、やるせなかった。 

 大阪商工会議所が先月末に発表したアンケート調査によると、電力値上げで「大きな影響がある」と答えた企業は27%、「ある程度影響がある」を加えると61%に達した。また、8割超の企業は製品などの販売価格にほとんど転嫁できないと見ており、経営基盤の脆弱な中小企業では廃業が相次ぐ恐れもある。

 特に、小さい企業ほど痛手は大きい。

 さらに、中小企業の借金に対して返済を猶予するよう求めてきた中小企業金融円滑化法が、この3月末で期限切れを迎えることで、苦境に追い込まれる中小企業が増加するとの見方もある。金融庁は、円滑化法を利用した企業は30万~40万社前後で、そのうち5万~6万社が自主再建困難と推計しているという。つまり、倒産予備軍が5万~6万社あるのだ。

 消費増税が実施されれば、さらに苦境に立たされるに違いない。

コメント52件コメント/レビュー

今回のテーマは[日本の未来]であり、「競争社会」が良いとか、「保護」はダメだの議論ではないと感じた。自分たちは、これからどういう社会にしたいかを考えるヒントみたいな記事だと思う。(2013/04/18)

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「「競争しない奴はいらない!」 中小企業“切り捨て”社会の行く末」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

今回のテーマは[日本の未来]であり、「競争社会」が良いとか、「保護」はダメだの議論ではないと感じた。自分たちは、これからどういう社会にしたいかを考えるヒントみたいな記事だと思う。(2013/04/18)

嘘と誤解を広める奴はいらない根本的な問題の錯誤 昔も競争はあったし、昔の貧困の方が酷かった 明らかに現在の方が改善されている 昔の競争との違いは緩かったということ 厳しくなったのは競争者が増えたことで、これはグローバル化のような現象が主因 ものづくり中小企業を困難に押しこんだのは「IT化」というのが真実だ政府云々などがどうにかできる問題ではない 政治に責任があるのならば核家族化の阻止・大家族優遇をしなかったことだ直近の経済政策に問題があるのは有権者に責任の一端があるいい加減誰だか分からないに奴に頼るのは止めて自分で戦えよ(2013/04/15)

ここ数年で建築業界から職人さんたちが消えています。他の業界に仕事を見つけた彼らは、「もう建築業界には戻らない」といっています。政府の支援は結構なことですが、そもそも「人」がいなくなると、産業自体が衰退する。そしてこの国では、いったんそうなると、その分野の再起は無理だと感じています。(2013/04/12)

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