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「子供を産めば出世できる?!」 消費者庁新人事制度の“迷走”

実態を考慮しない改正は問題をさらに悪化させる

2013年4月16日(火)

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 「昔、私はコレ(小指を立てる)でクビになりましたって、CMがありましたけど、私はコレ(お腹をさわる)で出世したんです! 5人も産んでしまいましてね(笑)。ほら、あれですよ、あれ。2013年度からうちでは、『育児休暇を取ると、人事評価でプラスになる』っていう人事評価になったアレです」

 こんなことを名刺交換の時、笑顔で語る人たちが出てくるかもしれない。いや、そんなふうに和やかに話せる空気が社会にあれば、楽しくていい。うん、実にいい。その光景を思い描くだけで、気が和む。

 「何をふざけたこと言っているんだ」
 「大体この書き方って、子育てをバカにしてるんじゃないか?」

 恐らくしょっぱなから口をとがらせている人がいるに違いない。

 でも、どうかそうネガティブに捉えないでほしい。冒頭のように、自らを笑い、それを笑って受け入れる。そんなおおらかな社会になればいいと願っただけ。

 何かと言うと人を批判し、切り捨てばかりが横行する、今のギスギスした空気が社会から抹消されればいいと思っただけなので、どうかご容赦くださいまし。

 今年度から消費者庁は、同庁の職員が育児休暇を取得した場合にプラス評価するよう人事評価制度を改正した。この制度は男女に関係なく適用される。つまり、育休を取った“イクメン”は、昇進や給与アップを期待できるようになったのである。

 そこで、今回は、「子育てと不公平感」について考えてみようと思う。

森・消費者担当相による制度改正の説明

 以前、このコラムで『育休フィーバーの影で犠牲を強いられる“正直者”たちの鬱屈』と題する記事を書いた時に、激しいコメントの応酬が巻き起こったので、「子育て」に関するテーマに再び挑むのは、少々ためらいもある。だが、今回の消費者庁の制度改革は、違う視点から考えるいい機会なので書き進めてみようと思います。

 まずは先月の19日(育児の日)にこの制度改正について説明した森雅子少子化・消費者担当相の記者会見の概要から紹介しよう(概略)。

 「育児の日にちなんで私から重大発表が一つございます。育児休暇を取った場合にどうなっているのかと消費者庁の人事担当に聞いたところ、「不利益扱いはいたしません」というところまでは答えたのですが、『不利益な取扱いをしないというだけでは不十分だ。育児休暇を取ったら利益になるような取扱いをしなさい』と指示を出しました」

 「育児休暇をとった場合には、消費者行政に必要な気づき等がその休暇の中で得られます。消費者庁の場合はそれを業務の中に生かしていくことができるので、それを人事評価でプラスにしていくことができるように人事評価制度を改正いたしました」

 「要するに育児休暇の取得を含むワーク・ライフ・バランスの実践に伴う生活者の視点の業務への反映、効率的な業務運営、良好な職場環境作り、学位及び資格の取得を通じた知見の蓄積等の効果について各職員に自己申告をさせ、人事評価に反映させることにいたしました。消費者庁が、霞が関におけるワーク・ライフ・バランス実現のモデルとなれるよう取り組んでいきたいと思います」

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「「子供を産めば出世できる?!」 消費者庁新人事制度の“迷走”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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