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池上さん、「川」は誰のものだと思いますか?

桑子先生に入門!「社会的合意形成」 第1回

2013年5月2日(木)

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(前シリーズ「米国トップ大学の教養教育事情」第1回から読む

池上彰(以下池上):私は現在、東工大のリベラルアーツセンターで教授をしていますが、上司にあたるのが、リベラルアーツセンター長の桑子敏雄先生です。

 桑子先生は、東工大で『社会的合意形成』という授業を持っていらっしゃいますね。

桑子敏雄(以下桑子):はい。学部の『社会的合意形成の技法』と大学院の『社会的合意形成の理論と技術』の2つの授業があります。

池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として東工大生に「教養」を教える。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。

池上:「社会的合意形成」。いささか長い単語ですね。「社会的合意形成」とはいったい何ですか? 

桑子:かいつまんでいえば、「哲学」の力で、社会の争いを治め、よい方向にみんなを導く手法のことです。

池上:哲学の力で?

桑子:はい。たとえば、川の自然環境を保全しつつ、防災対応をする。みんなが大切にしている郊外の森を守りながら、近隣の道路を整備する。自然保全と開発といった、二項対立に陥りそうな案件を「より創造的な方向に」うまく軟着陸させて、プロジェクトを前に進める。そのとき必要な「すすめ方」が、社会的合意形成、というわけです。

池上:むむむ、効用はなんとなくわかりましたが、そこでなぜ哲学の力なのかがもうひとつわからない……。そもそもの言葉の意味からお聞きしたいです。

桑子:そもそもの、ですね。「合意形成」とは、文字通り「合意を形成する」ということです。逆に言うと、合意形成する前には、必ず「合意のない状態」があるわけです。

池上:なるほど。

桑子:では、「合意のない状態」というのはどんな状態か?

戦争は「意見の対立」の悪化が行き着いた姿

池上:……合意ができていない。つまり、ひとびとの意見が一致してない。あるいは対立している、という状態ですか?

桑子 敏雄(くわこ・としお)
哲学者。東京工業大学大学院教授、同リベラルアーツセンター長。博士(文学)。1951年群馬県生まれ、75年東京大学文学部哲学科卒業、同大学院人文科学研究科哲学専修課程、博士課程修了。南山大学助教授などを経て東工大へ。2012年4月よりリベラルアーツセンターを率い、東工大生の「教養」力向上に務める。著書に『西行の風景』『感性の哲学』(日本放送出版協会)、『風景のなかの環境哲学』(東京大学出版会)、『空間の履歴』(東信堂)など多数。

桑子:その通りです。意見をまとめようというときに、ひとびとの意見がぶつかっている、対立している、反対を向いている。こんな状態ですね。では、社会におけるこうした対立が、悪化するとどうなるでしょう。

池上:喧嘩になったり……。

桑子:個人間ですと喧嘩になりますね。もっと深刻な争いになると訴訟になったり、さらに意見が対立している集団の規模が大きいと、紛争になったり、最後には、戦争になったりします。

池上:そう考えると、私たち人間社会には、意見の対立によるさまざまなもめごとがありますね。個人から、地域から、企業から、国家規模にいたるまで。

桑子:ええ。そこで、このような「意見の対立」が悪化しないよう、話し合いを行い、その結果、みんなの意見をまとめて、問題解決を図る。これが「合意の形成」です。

池上:ただ、「合意形成」の前に「社会的」とついていますね。なぜわざわざ「社会的」とつけているんでしょう?

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池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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