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米国の大学スポーツは人権侵害のカルテルか

学生スポーツのアマチュア規定は幻想?(下)

2013年5月10日(金)

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 前回のコラムでは、全米大学スポーツを統括している全米大学体育協会(NCAA)が大きな商業的成功を手にしている一方で、巨額のマネーを生む労働力を提供している学生選手には「アマチュア規定」を理由に適切な対価を支払っていないのではないかとする議論が盛んになってきている。その背景を解説しました。

 大怪我でアマチュア規定の理不尽さが露呈したルイビル大学のケビン・ウェア選手ですが、同選手が見守る中でルイビル大学は見事優勝の栄冠を手にすることができました。ただし、これには後日談があります。

 男子決勝の翌日に女子バスケの決勝戦が行われました。ルイビル大学は、女子も決勝進出を決めていたので、ヘッドコーチの計らいで、チーム全員で女子決勝戦を応援に行こうという話になりました。男子決勝が行われたアトランタから、女子決勝の開催地ニューオリンズまでは約750km離れており、ちょうど東京-広島間ほどあります。この飛行機代をコーチと大学で負担する手はずだったのですが、NCAAはこれが「不適切な利益供与になる」と認めませんでした。

 こうなると、一体誰のために何を目的にするアマチュア規定なのかよく分かりません。今回のコラムでは、アマチュア規定が生み出す不合理やそれに対する批判、学生への報酬モデルなどについて解説してみようと思います。

手段が目的化してしまったアマチュア規定

 NCAAのアマチュアリズムの根幹を規定しているのが、いわゆる「健全規範(Sanity Code)」と呼ばれる規則です。1948年に導入されたこの規範は、学生選手がその身体能力を用いて必要以上の対価を得てはならないとするもので、学生選手が手にできる対価を奨学金に限定するものです。

 実は、この「健全規範」が適用される以前のNCAAでは、規則に反して選手への金銭的対価の支払いが公然と行われていました。例えば、1929年にカーネギー財団が大学スポーツビジネスの現状を調査した通称「カーネギー・レポート」では、約4分の3の加盟校が選手に裏金を渡している実態が明らかにされました。裏金は、選手のリクルーティングや、入学後に授業料や生活費を負担する目的で渡されていたようです。

 NCAAはこうした不正が公然と行われている状況を改革すべく、学生選手への金銭的対価の支払いを禁止する「健全規範」を導入することになったのです。しかし、この規範が導入された1948年から既に65年が経過しています。その間、NCAAビジネスは飛躍的に拡大し、社会的常識と乖離した規範が前述のような軋轢・批判を度々生むようになってきています。手段が目的化してしまったのです。

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「米国の大学スポーツは人権侵害のカルテルか」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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