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「ヤマタノオロチ」を鎮めた対話集会

桑子先生に入門!「社会的合意形成」 第2回

2013年5月9日(木)

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(前回から読む

池上:前回は、社会的合意形成とは何か、なぜ哲学が専門の桑子先生が、河川工事などにまつわる社会的合意形成に関わるようになったのかを伺いました。ややもすると「机上の空論」と見られがちな「哲学」の知恵が、なんと環境問題や開発問題、社会問題の対立をほぐし、プロジェクトを前に進める、超実践的な側面を持っているぞ、というさわりをお話しいただきました。

桑子 敏雄(くわこ・としお)
哲学者。東京工業大学大学院教授、同リベラルアーツセンター長。博士(文学)。1951年群馬県生まれ、75年東京大学文学部哲学科卒業、同大学院人文科学研究科哲学専修課程、博士課程修了。南山大学助教授などを経て東工大へ。2012年4月よりリベラルアーツセンターを率い、東工大生の「教養」力向上に努める。著書に『西行の風景』『感性の哲学』(日本放送出版協会)、『風景のなかの環境哲学』(東京大学出版会)、『空間の履歴』(東信堂)など多数。(写真:大槻純一、以下同)

桑子:びっくりしたでしょう(笑)。

池上:びっくりしました。今回は、具体的に、どこで、どんな風に社会的合意形成をしてきたのかを伺います。最初は、どこで、社会的合意形成の実践をされたんですか?

桑子:最初に手がけたのは、淀川水系の川です。2004年のことでした。

池上:淀川といえば関西の大河川ですね。琵琶湖から京都、大阪湾へと流れ出る。

桑子:はい。淀川の水源である琵琶湖に流れ込む川も全部淀川水系ですし、紀伊半島の山奥のほうまで支流が伸びています。私がかかわったのは、そんな淀川水系のひとつ、京都から奈良県、三重県にまたがる木津川水系の上流につくろうという川上ダムの建設にまつわる意見調整でした。

※地図は国土交通省 近畿地方整備局、独立行政法人 水資源機構関西支社の資料より引用。リンクはこちら

池上:ダム建設にまつわる合意形成とは、いきなりハードルが高そうですね。なぜ、この川上ダムの案件が桑子先生のところに舞い込んだんですか?

桑子:淀川を管理しているのは、国土交通省の近畿地方整備局です。どうやらこちらは昔から東京の霞ヶ関に対抗意識があるようで、官僚組織でありながら先進的な試みをやろうとしていたんです。

池上:この場合の先進的な試み、とは?

桑子:従来、ダム建設などにまつわる周辺住民への説明は、アリバイづくりのようなものでした。つまり、「住民にダム建設をご理解いただくための説明会」にすぎなかったわけです。この「常識」を、近畿地方整備局は変えようとしました。「もっと、積極的にダム建設に関して住民の意見を聞き、反映していかなければならないぞ。これは新しい河川法の精神に則ったものです」と。

ファシリテーター候補者が続々逃げ出した

池上:なるほど、今まではそうでなかった、というわけですね。

桑子:はい。そこで取り組んだのが、丹生、大戸川、余野川、天ヶ瀬、そして川上ダムに関する住民対話集会でした。そのうちの一つ、川上ダムに関する話し合いの場は、木津川上流河川事務所で持たれることになりました。事務所は現在の三重県伊賀市、当時の上野市にありました。

池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として東工大生に「教養」を教える。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。

池上:伊賀忍者の郷ですね。

桑子:ダム建設のため住戸の移転は完了しつつあり、道路の付け替えもほぼ終わっていて、いざ本体工事に着工というタイミングで、「本当に川上ダムは必要なのか」という議論が始まったんです。

池上:桑子先生が関わるきっかけは、なんだったんですか?

桑子:住民対話集会では、中立的な第三者をファシリテーターに据えることになっていたのですが、お役所が用意したファシリテーター候補者リストの中に、私の名前があったそうなんです。

池上:で、桑子先生に白羽の矢が立ったと。

桑子:リストに名前のあった在阪の方々はみんな断ったそうなんです。結果、東京にいる私が、なぜか最後の候補として残ってしまいました。

池上:大阪より遠くて、時間も旅費もかかるじゃないですか(笑)

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池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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