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自治体独自の医療費助成があると、健康にプラスなのか?

独自の医療費助成がある町に住むメリットとは?

2013年5月16日(木)

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 現在の日本では、国民皆保険制度により医療機関へのアクセスを国民全員に保証している。年齢や生活保護受給者であるかにより診療費の自己負担割合は異なるものの、就労状況や年齢、所得に関わらず、体の具合が悪い時はすべての人が平等に、保険を使って医療機関で受診することができる。

 国民皆保険がある一方で、市区町村も自治体として独自の医療費助成をしていることを皆さんはどれほどご存じだろうか。そのような助成として代表的なものに、乳幼児・小児医療費助成制度、妊婦健康診査費用助成制度、予防接種に対する助成などがある。助成制度の目的は、例えば乳幼児や小児に対する医療費助成制度では、乳幼児を育てる家庭に対して必要とする医療が容易に受けられるようにすることである。自治体独自の施策であるため自治体により対象年齢、所得制限の有無、入院・通院の際の助成内容が異なる。

小児期の健康状態は、将来の障害や稼ぎにも影響

 このような費用助成制度が助成対象者の行動を変え、医療機関へのアクセスを向上させていることを前提とした場合、果たして費用助成制度の存在は結果的に対象者の健康に対しても影響を与えているのだろうか?

 このような医療機関受診に対する助成制度が健康に与える評価は、思うほどには容易ではない。なぜならば、受診が健康に与える影響は、病院にかかってすぐに表れるものばかりではなく長期間の積み重ねの結果として発露することも多い。さらには、小児のころの健康状態は将来にわたり学業の成績、将来の健康にまで影響することがこれまでの研究で明らかになっている。

 例えば、虫歯や中耳炎のような健康状態が小児の学業生活に影響を与えることは明らかにされているし、ジャネット・カリー米プリンストン大学教授 とマーク・スタバイル・カナダ・トロント大教授らがJournal of Health Economicsに2006年に発表した論文では、小児の注意欠陥・多動性障害という発達障害が留年率や試験の成績に影響を与えることが示されている。

 より長期的な小児のころの健康状態と将来の労働市場でのパフォーマンスとの関係については、アン・ケイス米プリンストン大学教授らが同雑誌に2005年に発表した論文において、7歳時点で有した慢性的な疾患の数が同一個人の42歳時点での雇用状況と社会経済状態に与える影響を分析し、7歳時点での疾病が16歳まで改善されなかった場合には、前述の労働市場と関係する2つの指標に負の影響を与えていることを示している。

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「自治体独自の医療費助成があると、健康にプラスなのか?」の著者

井深 陽子

井深 陽子(いぶか・ようこ)

東北大学大学院准教授

2000年慶應義塾大学経済学部卒、2008年米ラ トガース大学よりPh.D.(経済学)取得。京都大学大学院薬学研究科特定准教授などを経て2013年4月から現職。専門は医療経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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