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ゾンビ企業はまだ増えている

星岳雄スタンフォード大学教授と考える「アベノミクス」その1

2013年6月13日(木)

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 日経ビジネス別冊「新しい経済の教科書2013~2014年版」連動の今回のシリーズ。前回に引き続き、星岳雄・米スタンフォード大学教授との対談をお送りします。

(前回から読む

池上:安倍内閣が進めている景気刺激策「アベノミクス」。大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の促進を3本の矢と位置づけていますが、星さん(星岳雄・スタンフォード大学教授)はこれをどう評価されていますか。

星 岳雄(ほし・たけお)
米スタンフォード大学教授。1983年東京大学教養学部卒、米マサチューセッツ工科大学経済学博士(Ph.D.)。米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授などを経て現職。近著に『何が日本の経済成長を止めたのか―再生への処方箋』(日本経済新聞出版社)がある。(写真:LIVE ONE 菅野勝男、以下同)

:全く新しい経済学というのではない。標準的な需要刺激策とサプライサイドの政策の組み合わせですから、アベノミクスというのは、極めてスタンダードな経済政策と言えます。

 なのに新しいと思われているのは、日本の経済政策が特殊だったからです。これまで、こういったスタンダードな経済政策――特に金融緩和はそうですが――が取られてこなかったので、新しいと思われるのです。

池上:なぜ、日本ではスタンダードな経済政策が取られなかったのでしょう。

:いい質問ですね。しかし、難しい質問でもあります。

 まずひとつには、経済学に対する誤解があったと思います。経済学というのは一般的な学問であるにもかかわらず、アメリカには当てはまるけれど、文化の異なる日本には当てはまらないと思われてきた節があるのです。しかし実際には経済学は、同程度に発展している国に対しては、ある程度当てはまります。

池上:日本は特別だという誤解は、どこにあったのですか。

:日本の政策担当者の中でですね。

池上:なるほど。しかし、これまで日銀が金融緩和に積極的ではなかった理由に、こんなことは考えられませんか。金融緩和を大胆に実行すると、星さんのおっしゃる「ゾンビ企業」を温存することになるからだと。

ゾンビ企業温存はまだ続きそう

:それは、日本銀行(以下日銀)にとって最も好意的な解釈ですね。

 ゼロ金利政策を続けることは、ゾンビ企業、つまり本来なら淘汰されるはずの企業を生き永らえさせるという副作用も生みます。これについては、白川方明・前日銀総裁も指摘しています。ご指摘のように、そちらに重点を置いていたのだと思います。

池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として東工大生に「教養」を教える。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。

池上:ところでこの3月に、延長されていた中小企業金融円滑化法の期限が切れましたね。これは、2009年に、中小企業の資金繰り悪化を防ぐ目的で時限立法されたものです。これが結果的に、ゾンビを生き永らえさせたと言えませんか。

:その通りです。そして、法律は時限を迎えてなくなりましたが、実際のところはほとんど変化がありません。

池上:おや、なぜでしょう。

:「金融検査マニュアル」を2008年の変更以前のものに戻されなければ、不良債権の一分野である、貸出条件緩和債権を簡単に通常債権として取り扱えるという状況は変わらないからです。

コメント20件コメント/レビュー

大企業は、収支が悪化すると下請けの中小企業から、事業協力金という名の契約金額からの値引きをやっていました。次に円高になると円高協力金という名目のお金を徴収するということを平然とやっていました。今は円安協力金かもしれません。即ち、政府の中小企業支援策は全て大企業の収支改善手段になっているのです。確かにゾンビなのですが現実はそうなのです。ゾンビ企業を潰す策を実行すれば大企業の実態が表に出るから良いかもしれませんが、果たしてその方向に政府は動くでしょうか?なお、この事実は一部の業界の例です。(元通信システム技術者62歳)(2013/06/18)

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「ゾンビ企業はまだ増えている」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

大企業は、収支が悪化すると下請けの中小企業から、事業協力金という名の契約金額からの値引きをやっていました。次に円高になると円高協力金という名目のお金を徴収するということを平然とやっていました。今は円安協力金かもしれません。即ち、政府の中小企業支援策は全て大企業の収支改善手段になっているのです。確かにゾンビなのですが現実はそうなのです。ゾンビ企業を潰す策を実行すれば大企業の実態が表に出るから良いかもしれませんが、果たしてその方向に政府は動くでしょうか?なお、この事実は一部の業界の例です。(元通信システム技術者62歳)(2013/06/18)

お二人はゾンビ企業が何故消えないのかが理解できないようです。ゾンビ企業の経営者は解散したくても、個人補償があり社長個人の家土地屋敷が消えてなくなり膨大な借金が残ります。(生命保険でー自殺)、従業員の行く末はいかがでしょう、この優しい会社だから少々能力が低くても勤められるので、他では全く無理なことが解かっています。社長個人は年金をつぎ込み悩む毎日なのです。 ゾンビ企業をまとめて面倒を見る(企業経営者の生活は保持したまま退出)まとめたゾンビ企業の内容の取捨選択、集中で合理化、大規模化をはかり存続する(金融機関も債務放棄)といった機関を正に政府主導で用意しなければ解決しません。(出来ないでしょう) NHKや大学等で民間企業の実態を知らない人のお話など何の助けにもなりません。企業活動は金儲けで悪であるというような、「何と無く社会主義」にいつの間にか染まっているみたいです。民間企業活動こそ国民生活と全ての税金の元なのですが。(2013/06/14)

日本の大企業の大半って所謂利権どっぷりの、、製薬会社や自動車産業、電機くらいしか思い浮かばないんだけど。グローバル化では国内の利権では戦えなくなってるからどんどん困ってきてるんではないの?(2013/06/14)

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