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作りかけの高速道はつなぐべき?放っておく?

星岳雄スタンフォード大学教授と考える「アベノミクス」その2

2013年6月20日(木)

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 日経ビジネス別冊「新しい経済の教科書2013~2014年版」連動の今回のシリーズ。前回に引き続き、星岳雄・米スタンフォード大学教授との対談をお送りします。

(前回から読む

池上:安倍政権が発足してから、円安が進みました。これは、アベノミクスの効果なのでしょうか。それとも、原発がストップするなどして貿易赤字が増えたことで、遅かれ早かれこうなることになっていたのか、どちらなんでしょうか。

星 岳雄(ほし・たけお)
米スタンフォード大学教授。1983年東京大学教養学部卒、米マサチューセッツ工科大学経済学博士(Ph.D.)。米カリフォルニア大学サンディエゴ校教授などを経て現職。近著に『何が日本の経済成長を止めたのか―再生への処方箋』(日本経済新聞出版社)がある。(写真:LIVE ONE 菅野勝男、以下同)

:両方ですね。

 現在、民主党政権時に比べて、2割程度円安になっています。アベノミクスが目指しているように、これから年間2%ずつインフレが続いて、過去のデフレを取り戻せるようになるとしたら、2割くらいの円安になるのは理に適っているんです。

池上:しかし、こんなに急に効果が表われるものなんでしょうか。

:為替や株価というのは、未来を先取りして変動します。期待が数字を動かしているのです。なので、これから景気が回復して物価も上がっていくのだとみんなが信じれば、為替レートはすぐに反応するわけです。

 現在の株価、そして為替の変動は、将来の期待を反映しています。しかし、それが期待外れに終わり、上がった株価は下がり、安くなった円が高くなっていくこともあります。ですから安倍政権には、今の動きをバブルに終わらせないためにいろいろな手を打っていく責任があります。

池上:安倍さんは、日銀の黒田東彦新総裁に対してもいろいろと注文を付けていますね。中央銀行に対してここまで政府が介入していいのかという見方も、主に海外で聞かれます。そこはいかがですか。

「パーティは終わり」を宣言するために、独立性は重要

:危険ですね。一時は日銀が方針を変えないのなら日銀法を改正するというような、独立性を脅かすような話も出ましたが、かなり危ない発言です。やはり、中央銀行は独立でなくてはなりません。

 アベノミクスが成功してインフレになったとすると、日銀の独立性は非常に重要になります。政治家に任せていては、必要な金融引き締めをしないで、インフレがさらに進行する可能性が高くなります。ただ、日銀が政府にそのようなことを言われてしまう理由もありました。日銀は、これまで15年ほど、デフレを放置してきたわけですから。

池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として東工大生に「教養」を教える。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。

池上:白川前総裁は、中央銀行の金融政策だけではデフレからは脱却できないと繰り返していましたね。

:それは間違っています。金融緩和でデフレからの脱却はできます。日銀は、ゼロ金利政策を続けるなり、いろいろな資産を買うなりして、さらに、そのような政策が最終的にはデフレの脱却につながることを丁寧に説明する必要があります。ところが、それを怠ってきました。

池上:どういうことでしょうか。

:たとえば日銀は過去にも量的緩和政策をしたり、様々な資産を買う政策をとったりしました。でも政策を決定した直後の記者会見で、総裁が「金融政策だけではデフレは解消しない」というようなことを言ってしまう。

池上:まるで学者の発言ですね。

:米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長は学者ですが、彼は中央銀行にできることは何でもやると言い切って、そのような政策が最終的には効いてくると説明してきました。実際に、FRBは量的緩和などによってデフレからの脱却には成功した。

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「作りかけの高速道はつなぐべき?放っておく?」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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