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今回の歌舞伎座は、実は「脱コンクリート」建築

養老孟司×隈研吾対談:生まれ変わった歌舞伎座を見に行こう(3)

2013年6月6日(木)

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完成したばかりの新しい歌舞伎座。設計を担当した建築家の隈研吾さんが、養老孟司先生を自ら案内しました。伝統を受け継ぐ中にも最先端の技術が使われていることに驚く養老先生。なぜ最先端だったのか。それは、日本人にとって歌舞伎座がどんな存在だったのかに関係しています。

(前回から読む

養老先生、隈さんご案内による歌舞伎座ツアーはいかがでしたか。

養老:いや、いろいろとびっくりしましたよ。

どんなところに?

撮影:鈴木愛子(以下特記なきものはすべて)

養老:まず、入り口の屋根の庇の下に付いている「垂木(たるき)」――でしたっけね。

:はい、垂木です。ただ、使っている材質はアルミなんです。そのアルミの垂木は、富山の職人さんが作っていて、1本1本全部形が違っています。コンクリートの時代の垂木は型枠を作って、そこにコンクリートをだーっと流し込む方式でしたが、この第5期の歌舞伎座では乾式で、鉄骨にすべての部材がジョイントでくっ付いています。鉄骨に取り付いているから、実は部材を取り換えるのがすごく簡単なんですね。

1本1本、取り替えていくことができるんですか。

:そう、傷んだものだけ取り換えられる。昔の木造って、みんなそうだったわけですよ。傷んだ部材だけ取り換えられるから、法隆寺なんかは、何百年も持っている。「世界一古い木造建築」と言われると、創建当時のまま、ずっと残ってきたのかと思いがちですが、実は部材をどんどん取り替えているわけです。今は、それと同じことが、鉄骨でできるようになっています。

この「ともだおれ対談」シリーズで、隈さんは度々、一体成型のコンクリートのもろさを指摘してきましたが、この歌舞伎座は同じコンクリートでも、そういう製法ではないんですね。

:ぱっと見ただけでは分からないかもしれませんが、今度の歌舞伎座は脱コンクリート建築なんです(笑)。

新しい歌舞伎座は“脱コンクリート”

養老:一見すると漆喰調だから、地はコンクリートかと思うけどね。

:いえ、実は、裏は鉄骨にドライジョイントでくっ付いているんです。部材は垂木のようにアルミでできているものもあるし、プレキャストコンクリートといって、工場で作って現場で取り付けたコンクリートもあるし、GRCというガラス繊維が入っているプレキャストコンクリートもあるしと、ばらばらなんです。

(写真:松竹株式会社)

 それらすべてに、珪素の粉体塗装という、粉状の深みのある塗装をほどこしていて、漆喰調の落ち着いた質感を与えた。これは現代の技術だからこそできた外観なんです。

最新の技術で復古的な味わいが出るという、逆説的なことになっているんですね。

養老:私はね、「病院の壁をこれにしてくれ」、と言ってます。よくある病院の壁、あれ、病気が悪くなるんだよね。

養老 孟司(ようろう・たけし)氏
解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。東京大学名誉教授。著書に『からだの見方』(筑摩書房、サントリー学芸賞)『唯脳論』(青土社)『人間科学』(筑摩書房)『バカの壁』(新潮社、毎日出版文化賞)『死の壁』(新潮社)など、専門の解剖学、科学哲学から社会時評、文芸時評までを手掛ける。

隈 研吾(くま・けんご)氏
建築家。東京大学教授。1954年生まれ。1979年に東京大学工学部建築学科大学院を修了。米コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。97年に日本建築学会賞を受賞(宮城県登米町伝統芸能伝承館「森舞台」)。99年慶応義塾大学環境情報学部特別招聘教授。2001年同大理工学部教授に就任。2009年から東京大学教授。主な著書に『負ける建築』(岩波書店)、『つなぐ建築』(同)、今シリーズのまとめ役、清野由美との共著『新・都市論TOKYO』『新・ムラ論TOKYO』(集英社新書)がある
撮影:鈴木愛子(以下特記なきものはすべて)

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「今回の歌舞伎座は、実は「脱コンクリート」建築」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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