• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

日本は「屋根の時代」を迎えつつある

養老孟司×隈研吾対談:生まれ変わった歌舞伎座を見に行こう(4)

2013年6月13日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

伝統を受け継ぐ中にも最先端の技術が使われている新しい歌舞伎座。設計を担当した建築家の隈研吾さんと養老孟司さんが、モニュメントとしての歌舞伎座の役割について語り合いました。

(前回から読む

前回の終わりに、隈さんは歌舞伎座の立地というものが、歌舞伎座にとっても、東京にとっても、決定的に重要であるとおっしゃいました。

:歌舞伎座を創設した福地桜痴という人が、晴海通りという軸線に歌舞伎座をもってきたことが、劇場のステータスを決めたといっても過言ではありません。

 軸の重要性については、丹下健三先生がよく認識されていました。丹下先生は、1950年代の終わりに発表した「東京計画1960」は、晴海通りという軸を、そのまま東京湾に伸ばしていって、メタボリズム的な、拡張可能な未来都市を作るという絵でした。

養老:メタボリズムとは、細胞の新陳代謝のことですよね。

東京・晴海通りを歌舞伎座横のビルから見る
撮影:鈴木愛子(以下特記なきものはすべて)

:そうです。当時の建築界で流行った概念で、60年代は黒川紀章さんを筆頭に、丹下門下の建築家たちが、メタボリズム運動というものに取り組んだんです。今も新橋と築地の間にある「中銀カプセルタワー」は、黒川さんのメタボリズム建築の代表です。

養老:ほお。

都市計画で重要なのはどの「軸」を基準にするか

:丹下健三の「東京計画」は、皇居を基点に軸線を引いたから、「丹下は右翼だ」とか、いろいろと言われたんですが、要するに彼は晴海通りという「軸」の重要性を分かっていたわけです。

 都市計画とは、どの軸を基準線に選ぶかが重要なんです。丹下先生は設計コンペに勝って、広島平和記念公園を設計するのですが、あれは敷地から原爆ドームへと軸線を引き、原爆死没者慰霊碑など、すべての建築的要素をその軸線上に乗せることで、都市計画と原爆とを緊密に結びつけることに成功しました。

養老:なるほどね。

:でも今は、残念ながら、そういう軸に対するセンスを持っている人がいなくなってきています。だからお台場なんて、東京の軸と切断されて寂しい場所になってしまいました。お台場の計画の原型といわれる丹下先生の「東京計画」では、晴海通りの軸と埋め立てがしっかりリンクしていました。そのつながりが分断されているから、あんな無味乾燥な場所になっちゃった。

養老:何であんな真っさらな土地で、あんなつまらない街しかできないのかね。あそこにはたまに行くことがあるんだけど、好きなドングリなんかを蒔いて、勝手に林を作っちゃおうかと思うもの(笑)。

エコロジーゲリラですか。

:それは一番いい方法ですね。

養老 孟司(ようろう・たけし)氏
解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。東京大学名誉教授。著書に『からだの見方』(筑摩書房、サントリー学芸賞)『唯脳論』(青土社)『人間科学』(筑摩書房)『バカの壁』(新潮社、毎日出版文化賞)『死の壁』(新潮社)など、専門の解剖学、科学哲学から社会時評、文芸時評までを手掛ける。

隈 研吾(くま・けんご)氏
建築家。東京大学教授。1954年生まれ。1979年に東京大学工学部建築学科大学院を修了。米コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。97年に日本建築学会賞を受賞(宮城県登米町伝統芸能伝承館「森舞台」)。99年慶応義塾大学環境情報学部特別招聘教授。2001年同大理工学部教授に就任。2009年から東京大学教授。主な著書に『負ける建築』(岩波書店)、『つなぐ建築』(同)、今シリーズのまとめ役、清野由美との共著『新・都市論TOKYO』『新・ムラ論TOKYO』(集英社新書)がある
撮影:鈴木愛子(以下特記なきものはすべて)

「養老孟司×隈研吾 「ともだおれ」思想が日本を救う」のバックナンバー

一覧

「日本は「屋根の時代」を迎えつつある」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

組織を正しい方向に導き、 作り変えていける人が、優れたリーダーです。

ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長