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音楽ビジネスで「リアル体験」も変え始めたデジタル化の威力

音楽にとどまらないことを想定しビジネスモデルの変革に備えを

2013年8月5日(月)

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 今年の春ごろだったろうか、紅白歌合戦が完全にカラオケ音源化したという話を伺った。オペラで知られる作曲家の三枝成彰さんがスピーチの中で紹介しておられたのだが、これまでのフルバンドによる生演奏に代えて、昨年大みそかの紅白歌合戦の伴奏はすべてデジタル化されたカラオケによるものになったという。

 番組を見たときは気づかなかったのだが、この話、デジタル化の大波の中での「音楽の変質」を感じさせるものだ。

 NHKは、大河ドラマの音楽についても、オーケストラの生演奏をほぼ使わなくなったため、クラシック奏者にとっての重要な収入源がなくなってしまったとか。単純に生の演奏がカラオケになるだけでなく、カラオケ音源の大部分はサンプリングされたもので作られるため、演奏機会とそれに伴う収入が激減したことになる。

 三枝さんは、お話の中で、音楽のデジタル化の例として、初音ミクのライブコンサートについても触れておられた。スクリーン上に投影されたバーチャルアイドルが歌い、踊る、というコンサートだ。この動員力が、なかなかのものだ、というのもよく知られた話で、日本のみならず、香港・台湾・シンガポールなどでも開催されている。

 ご存じの方には、当たり前の話で恐縮だが、念のために説明しておくと、初音ミクというのはバーチャルアイドル。ボーカロイドとも言われる。クリプトン社のソフトを使って、ユーザー自身が初音ミクの歌う楽曲・映像を制作できる。ニコニコ動画を検索してみれば分かるが、ものすごい数の楽曲・映像がアップされている。その数、10万を超えるという説もあり、ユーザー作成の曲を集めたCDは何度もチャート上位に登場している。

音楽を巡る様々な事象を読み解くカギは「遊び」

 さて、こういった「音楽の変質」。これら以外にも、いろいろなことが起こっている。日本市場でもいよいよCD販売が大きく減少し始め、音楽ビジネスの収入源が、コンサートなどのライブ、そして、その場でのグッズ販売にシフトしつつある現象。

 AKB48のように、CDがアーチストへのアクセス権チケットとして買われ、アーチストとの握手会自体が大きな収入機会となる新しいビジネスモデル。あるいは、ゴールデンボンバーのようなボーカル以外は演奏をしないエア芸アーチストのメジャー化。

 こういった様々な事象を、「遊び」というキーコンセプトを軸に、すっきりと分からせてくれる評論を読む機会があった。文芸・音楽評論家の円堂都司昭氏が著した『ソーシャル化する音楽 「聴取」から「遊び」へ』(青土社)という本だ。

コメント3件コメント/レビュー

とても良い示唆ですが、評価が低くて驚きです。ちなみに、読者コメントにある音楽モジュールですが既に沢山あります。そういうものは「誰でも作れ」「電子データ保存され」「改変が容易」なモノなので全て二束三文です。PCの発達とネットの普及により、プロとアマの境目が無くなったのが原因とも言えますね。(2013/08/06)

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「音楽ビジネスで「リアル体験」も変え始めたデジタル化の威力」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

とても良い示唆ですが、評価が低くて驚きです。ちなみに、読者コメントにある音楽モジュールですが既に沢山あります。そういうものは「誰でも作れ」「電子データ保存され」「改変が容易」なモノなので全て二束三文です。PCの発達とネットの普及により、プロとアマの境目が無くなったのが原因とも言えますね。(2013/08/06)

工業会でもモジュール化が主流となり、それに伴い、発展途上の国でも、同じように製品を製造している。歌の世界もそれと同じことが起きているのかと思った。発展途上の人々が参加して、モジュール化した歌の断片を組み合わせて、新たな作品を作成しているのが現状だとすると、結局、今後のプロの仕事は、モジュールを作ることなのかもしれないと思った。もしかしたら、シリアス楽曲モジュールとかラブロマンス楽曲モジュールというようなデータが売り出され、それらを組み合わせて作品を作るという趣味の音楽世界の勃興期なのかもしれない。(2013/08/05)

あくまで未だ受け手ではありますが、既にそうなっているのが実感です。それらの事象を眺めるに連れ、結局近代化以降の在り方がイレギュラーであっただけで、置かれた環境要因の違いを除けば結局元来在るべき在り方を取り戻してきているとも見えます。(2013/08/05)

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