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“会社の自殺”が進むこの国の愚行とANA正社員化の英断

非正規という雇用形態がもたらした損失の計り知れない大きさ

2013年9月3日(火)

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 「社員さん」――。

 これまで契約社員など非正規社員の方たちにインタビューした際に気づいたのだが、彼らは、正社員の人たちのことをこう呼ぶことが多い。

 「残業はあるんですか?」

 「いえ、私は契約なのでありません。でも、社員さんたちは月末になると結構、やらされていますね」

 「正社員はどれくらいの割合なんですか?」

 「以前は半々くらいだったんですけど、今はヒラは全員契約で、社員さんは管理職だけです」

 「社食とか、非正規の方たちも正社員と同じように使えるんですか?」

 「はい、使えます。でも、社員さんの方が安い値段で食べられますね」

 こうした具合だ。

非正規は「社員」ではない?

 「みなさん契約の方は、 “社員さん”って呼ぶんですか?」と聞けば、「え? ああ~……。そ、そうですね。あまり意識しないで使っていたんで。あぁ、でもそうですね。正社員の人だけが参加する会議とかもあるし。そういうときとか、“社員さんだけだって”なんて使い方、普通にしているかな」と答える。

 正社員は、「社員さん」。ならば、非正規社員は、「社員」ではないということなのか?

 総務省が8月13日に公表した労働力調査の結果によると、今年4~6月期平均の非正規労働者数は前年同期比106万人増の1881万人で、統計を取り始めた2002年以降で最多。雇用者総数は過去4番目の水準に増えたが、正社員雇用は53万人減った。

 同じく総務省が7月に発表した「平成24年(2012年)就業構造基本調査」の結果によれば、非正規社員の比率は、38.2%と過去最大を更新し、20年でほぼ倍増していた。

 安倍晋三首相は、「順調に景気は上がっている」と強調し、その象徴として雇用の増加を挙げるが、雇用は増えても、“社員さん”は、減り続けているのだ。

コメント31件コメント/レビュー

正社員=業務に責任を持たせると考えた場合、正社員化は必須となると思います。少なくとも現在の派遣社員云々は責任を問われる事は無いですから。之は即ち無責任の人間が社内にいるということと同義。今までの様に派遣社員≒非正規社員を増やしていこうという考え方そのものが間違っていたという事。(2013/09/07)

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「“会社の自殺”が進むこの国の愚行とANA正社員化の英断」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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正社員=業務に責任を持たせると考えた場合、正社員化は必須となると思います。少なくとも現在の派遣社員云々は責任を問われる事は無いですから。之は即ち無責任の人間が社内にいるということと同義。今までの様に派遣社員≒非正規社員を増やしていこうという考え方そのものが間違っていたという事。(2013/09/07)

バブルの崩壊やリーマンショック、円高で企業は人件費削減に走り、それが終身雇用の放棄をもたらし、更に正社員、契約社員、派遣社員等というコストと業務範囲が異なった雇用形態を定着させました。これは企業の収益悪化を緊急避難の方策だったと思いますが、人件費のコントロールのしやすさから常態化してしまいました。これによる企業のマイナス面は、企業文化と業務ノウハウの継承が希薄化し、知的面での企業力低下をもたらしています。但し、このマイナス面は年数が経たないと分かりにくく、その間に社長も変わってしまい、ボディブローのように効いて来る事になる場合も有ります。私はANAはこの点に気づき、サービスの核となるCAの正社員化で、手を打ったのだと思います。結果として企業力は維持され、将来の企業価値、競争力の確保につながるのは間違いないでしょう。日本の企業力の維持・向上の視点で、多くの会社に考えて欲しい点です。(2013/09/07)

今回は実に良い内容・良い筆致だった。(失礼ながら、もしかして河合さんの原稿ではじめてそう感じたかもしれない)。素晴らしかったですよ、本当に。(2013/09/05)

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三品 和広 神戸大学教授