• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

失業者支援策が、逆に格差を拡大する?

労働市場で、ニーズに合った求人場所を置く経済学的意味

2013年10月8日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 アベノミクスの成長戦略を支える上で、成熟産業から成長産業への速やかな労働移動が模索されている。失業をなるべく最小限に留めて、最適な雇用再配置を促そう、というわけだ。そのような中、日本でも雇用促進に向け、公共職業紹介所(いわゆるハローワーク)や民間人材ビジネスを活用した、雇用仲介によるマッチング強化に期待が集まっている。この点、ヨーロッパには労働市場改革を繰り返し、試行錯誤を蓄積してきた歴史がある。

 イギリスにおけるジョブセンター・プラスの設立や、ドイツのハルツ改革(ドイツで2000年前半からはじまったシュレーダー首相による大規模な労働市場・雇用改革で、フォルクスワーゲンの労務担当役員であったペーター・ハルツ氏を中心に行われた)が有名であるが、オランダをはじめとする他のヨーロッパ諸国でも似た試みがある。本稿では、筆者の研究チームがオランダおよびドイツで取り組んでいる研究成果を紹介しながら、公的・私的職業斡旋・仲介の果たす機能と効果について、経済学的な視点から論じてみたい。

職業斡旋・仲介の必要性は世界的コンセンサス

 経済協力開発機構(OECD)統計(2011年)によると、GDP(国内総生産)比でみた、各国政府が公共職業紹介サービスに費やした支出(オフィス維持費、人件費、業務管理費など)は、アメリカ0.04%(60億ドル)、日本0.05%(2500億円)、ドイツ0.34%(89億ユーロ)、オランダ0.41%(25億ユーロ)であった。

 これに、職業訓練や所得保障にかかわる支出を加えると、GDP比は、それぞれ、0.71%、0.62%、1.82%、2.74%にのぼる。職業斡旋・仲介にかかるこれほどまでの出費を正当化する根拠は何だろうか。最も大きな前提は、仕事を見つけるのにサポートを必要としている求職者が大勢いるということである。

 企業が求める人材と求職者の持っている特性などが異なったり、企業と求職者の互いの情報が不完全であったりするため、両者が相手を探すのに時間がかかる。これらの困難(経済学の用語で、マッチングに伴うフリクションという)を公的支援により軽減することによって、仕事が見つけやすくなるというわけだ。

 労働市場ではマッチングに伴うフリクションがそれほどに大きく、国民の厚生の損失が深刻で、だからこそ多少の支出をもってしても対策を講じるべきである、というコンセンサスが世界中で共有されているともいえる。公共職業紹介所の存在そのものが、求職、求人にともなうフリクションの大きさ・深刻さを表しているのである。

コメント2

「「気鋭の論点」」のバックナンバー

一覧

「失業者支援策が、逆に格差を拡大する?」の著者

渡辺 誠

渡辺 誠(わたなべ・まこと)

オランダ・アムステルダム大准教授

1996年早稲田大学政経学部経済学科卒。98年京都大学大学院経済学研究科修士課程修了。2006年英エセックス大学経済学博士。カルロス三世大学を経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

社長に就任してずっと言っているのが ファンダメンタルズの強化。

安形 哲夫 ジェイテクト社長