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予測の予測の予測の予測・・・・は予測できるのか?

株価を予想するのは、美人投票よりはるかに難しい

2013年11月5日(火)

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 市場経済において、価格は極めて重要な役割を果たしている。もしもマグロの値段がいつもより高ければ、それは、人々がマグロをいつもより欲している状態(需要の増加)か、またはマグロの水揚げがいつもより減少している状態(供給の減少)であることが分かる。価格が需給の状態を素早く集約して私たちに知らせてくれることで、私たちは適切な選択を行うことができる。また、「安いならマグロを食べてもいいかな」という人たちよりも「高値でもいいから是非今日はマグロを食べたい」という人たちへ優先的にマグロ資源を配分することを通じて、経済全体の資源配分をより良いものにしてくれるのである。これが価格メカニズムである。

 もしも価格メカニズムが機能しなければ、マグロはたちどころに枯渇してしまうし、それを回避するために政府が私達のマグロ消費許容量をいちいち法律で決めて監視しなければならなくなるだろう。価格メカニズムが機能しているおかげで、マグロ資源の減少は直ちに価格上昇につながり、より値段の安い食品の消費が促されてマグロの消費が控えられるだけでなく、マグロを増やす努力(例えば養殖技術の開発など)が促され、マグロの枯渇を回避しながらも長くマグロの消費を楽しみ続けることが可能になるのだ。

 このように、価格が需給の状態を素早く集約して私たちに知らせてくれることを、経済学では「価格の情報伝達機能」と呼んでいる。

 この基本原理を株式市場に応用して得られる結論の1つが、2013年のノーベル経済学賞を受賞した1人、ユージン・ファーマ米シカゴ大学教授が概念を整理した「効率的市場仮説」である。これは要するに、株価には私達が持つありとあらゆる情報が瞬時に反映されており、その意味で株価は常に「正しい」という主張である。株価は企業業績の展望を正確に反映したものになっており、株価の変動は業績見通しが変動したに過ぎず、そこにバブルの入る余地はない、ということも同時に意味するのだ。

脳天気すぎる「効率的市場仮説」

 ここまでお読みになった読者もお気づきのように、効率的市場仮説は一見とてつもなく脳天気な主張であるため、この仮説の重要性を理解するのは簡単なことではない。だが、研究者達は「現実はこんなに上手い具合にいくはずがない」などと言ってこの仮説を簡単に一蹴するのではなく、仮説が実際のデータで成立しているかどうかを多方面から検証し、もし成立しないならばその具体的なメカニズムについて明らかにしようとする努力を長年積み重ねてきた。

 バブルが存在するかどうかなど、金融市場に関する問いかけの多くは「効率的市場仮説は成立するのか」という問いかけに帰着できる。そのため、効率的市場仮説は膨大な実証研究の呼び水になっただけでなく、高度な理論分析の出発地点を与えることにもなり、資産価格研究の礎とも言える存在である。ノーベル経済学賞の受賞対象は「資産価格の実証研究」であったが、一言で言えば、効率的市場仮説の検証を行った研究者たちに与えられたということになる。

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「予測の予測の予測の予測・・・・は予測できるのか?」の著者

工藤 教孝

工藤 教孝(くどう・のりたか)

北海道大学准教授

1996年立命館大学経済学部卒、2000年ニューヨーク州立大学大学院経済学研究科修了(Ph.D.)。一橋大学、関西大学を経て2005年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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