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「トップは逆上がりができないに限る?」 “人の過剰在庫”に潜む罠

数字だけで語るトップと社員の間に生じた“温度差”

2013年11月19日(火)

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 講演会の講師で呼んでいただくと、講演開始前に控室で雑談をすることが多い。それは先方のニーズに合った話をするための貴重な時間であり、会社の上司部下関係が垣間見える絶好のチャンスでもある。と同時に、世の中の流れのようなものを肌で感じることもできる。なので、時間の許す限りいろいろな話をするようにしている。

 で、最近。正確には今年に入ってからなのだが、トップと社員の“温度差”のようなものを感じることが増えた。

 なぜ今年になって増えたのかはわからない。単なる勝手な思い込みかもしれないのだが、なんともいえない微妙な空気感が肌に突き刺さることが少なくないのである。

 例えば、中間管理職の方たちと話しているときに、
 「ウツになる社員が後を絶たなくて……」
 「パワハラがやはり、ありまして……」
 「辞めてしまう女性が多くて……」
 なんて社内事情を伺うとする。

 その後、トップの方に(たいていの場合、トップの方が控室に挨拶にきてくださるのは少したってから)、中間管理職の方たちから聞いた“問題点”について、“さりげなく”話題をふる。そう、実にさりげなく。ごくごく一般論として、話題を向ける。すると、

 「うちの会社でも休んでいる社員もいるみたいですけど、ウツになるなんて、ちょっとヤワすぎるよね」
 「時には厳しく言わなきゃいけないときだってあるのに、なんでもかんでもパワハラっておかしな世の中だね」
 「なんやかんやいっても子育ては、女性の仕事だからね」

 などと、アッケラカンと答える。中間管理職の方たちの、「どうにかしたい」という気持ちとは裏腹に、「お気の毒だけど、仕方がないよね」とまるで他人事なのだ。

社内失業者が8.5%もいるっていうけれど……

 いやいや、他人事とは言い過ぎかもしれない。だが、私には「ウツもいれば、パワハラもあるし、育児で辞めてしまう女性たちもいる。でも、それはその社員が、甘えているだけでしょ?」と、言っているように聞こえてしまう。

 講演会で私のようなものを呼んでくださる企業の方たちは、「社員を、上司を、部下たちを、どうにかしたい!」という気持ちを持ってくださっているケースがほとんどなのだが、「あれ? なんでやねん」と、ちょっとばかり首をひねりたくなることが少なくないのである。

 ひょっとして、「面倒な人は、いらない!」というのがホンネなのかも、なんて思ってしまう。なんせ、散々話題となった、“雇用特区構想”を政府に進言した産業競争力会議でも、そういう空気がアリアリだった。

 内閣府がまとめた経済報告書「日本経済2011~2012」によると、企業内の余剰人員とされる「雇用保蔵者」(いわゆる社内失業者)は2011年9月時点で465万人で、企業に勤務する人の8.5%。

 産業競争力会議では、この「雇用保蔵者数」を根拠に、大企業の「人材の過剰在庫」の解消が必要不可欠と進言したのである。

 雇用保蔵者とは、あくまでも数字から弾きだされた人数で「アナタの会社には、“給料泥棒!”って怒鳴りたくなるような社員が、どれくらいいますか?」と、トップに聞いた主観的な結果ではない(当たり前か……)。

コメント25件コメント/レビュー

「自分で考えて動く社員」というのは、基本的に何処の会社の何処の部署には必ず一人は居ます。 でも、彼ら彼女らは会社の中で必ずしも実力者と捉えられていない事も多い。 何故でしょうね? それが会社の事業が停滞してしまう理由です。(2013/11/20)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「トップは逆上がりができないに限る?」 “人の過剰在庫”に潜む罠」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「自分で考えて動く社員」というのは、基本的に何処の会社の何処の部署には必ず一人は居ます。 でも、彼ら彼女らは会社の中で必ずしも実力者と捉えられていない事も多い。 何故でしょうね? それが会社の事業が停滞してしまう理由です。(2013/11/20)

コラムの最後を読んで、エルピーダメモリの坂本前社長が著作で書かれていた「(エルピーダも)会社が外資(マイクロン)の傘下になっても、社員のリストラは一人も行わなかった」という言葉を思い出しました。リストラを行うと、その人だけじゃなく組織全部がダメになる、逆にその人をその気にさせれば、組織全部が活性化する。真の意味でのリストラクチャリングとはそういうことではないでしょうか?(2013/11/20)

「使えない人はいらない」というのはホンネだろうが、短期的に使えないと割り切った人を切るようでは真実を判っていない。働き蟻でも良く動く:普通に動く:あまり動かない比は2:6:2とされ、良く動く2だけを集めても、しばらくすれば2:6:2になってしまう。逆にあまり動かない2だけを集めても、しばらくすればやはり2:6:2になって動くようになる、という事実を知らないということだ。目先の判断で下部層の人を切ったと思っても、その瞬間から上部層の劣化が始まり、結果的に上部層の総数が減るということで組織が劣化する。企業の場合、業績が落ちるという意味である。人減らしする企業に未来は無い。「社内失業者が8.5%もいる」というのは、あと1割をそうとは思ってないだけのことである。(2013/11/20)

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三品 和広 神戸大学教授