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ノーベル賞受賞理論は、社債の投資判断に生かせるか?

最新研究で考察するリターンの予測可能性

2013年11月29日(金)

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(本稿は筆者個人の見解を示したものであり、筆者の所属する米国連邦準備制度理事会の見解を反映したものではない。)

 社債の投資リターンを予測することはできるのだろうか。常識的に考えると、そんなことはできるはずがなさそうだ。もし社債の投資リターンが完全に予想できるなら、誰でもデイ・トレーダーとして簡単にお金を儲けることができるはずだ。あなたの知り合いに、デイ・トレーディングをして大金持ちになっている人がいるだろうか。少なくとも、筆者の周りにはいない。

 このことから考えると、社債のリターンを予測するのは、無理なのかもしれない。逆に、そうでないなら経済学者にとって非常に興味深い現象だと言える。今年のノーベル経済学賞はシカゴ大学のファーマ、ハンセン両教授とエール大学のシラー教授に贈られたが、ファーマ教授とシラー教授の受賞理由として、株式の投資リターンの予測可能性について研究したことがあげられている。このことからも、投資リターンが予測できるかどうかは非常に重要なトピックであることが分かる。本稿では社債の信用スプレッドという指標を用いて、社債の投資リターンが予測できるかどうかについて米国のデータに基づき論じたい。

 本論に入る前にまず「リターン」とは何かを確認しよう。リターンとは、あなたが今日1円を投資した場合に、翌日、あるいは翌年、いくらになって返ってくるかを測るものだ。年次のリターンが1%なら、今日100円で買った社債を、来年101円で売却できることになる。リターンの重要な特徴は、今日の時点ではそれがいくらになるか分からないという点である。リターンは、例えば25%だと、投資判断をする今日の時点で分かってしまえば何の苦労もないのだが、なかなかそうはいかない。

スプレッドによる月次リターン予測は困難

 一方、社債の信用スプレッドは、ここでは社債価格の、国債価格に対する比率(の対数)を、年限で割って標準化したものと定義する()。この社債と国債は年限、利率が同じであるとする。面倒な定義だが、要は社債の国債対比の相対価格であると考えてほしい。通常は、社債の価格は国債の価格より低いはずだ。これは、一般的に社債のほうが国債に比べて、倒産して債務を返済できなくなるリスクが高いためだと考えられている。社債価格が国債対比で非常に安い場合、「信用スプレッドが厚い(大きい)」と言う。逆に社債価格が国債価格より少ししか安くない場合、「信用スプレッドが薄い(小さい)」と言う。つまり信用スプレッドとは、社債の「割安度」を示す尺度と考えればよい。リターンとは違い、信用スプレッドは、投資判断をする今日時点で観測できる尺度だ。

※ 信用スプレッドは、金融業界では社債の利回りと国債の利回りの差分として定義されることが多いが、本稿の定義を用いても、金融業界で一般的な定義を用いても、同一の結果が得られる。

 さて、社債の信用スプレッドを用いて社債のリターンは予測できるのだろうか。図1は、社債の信用スプレッドと、その後1ヶ月間の社債投資リターン(正確には、社債のリターンと国債のリターンの差分)を時系列で示している。ここでの信用スプレッドとリターンは米国で公開取引されている全ての社債の加重平均値を取っている。ご覧のとおり、この2つにはあまり関係がないように見える。リターンはプラスになったりマイナスになったり非常に激しく変動するのに対し、信用スプレッドはごくゆっくりとしか動かないため、スプレッドで月次のリターンを予想するのは非常に難しいといえる。

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「ノーベル賞受賞理論は、社債の投資判断に生かせるか?」の著者

野澤 良雄

野澤 良雄(のざわ・よしお)

FRBエコノミスト

2002年東京大学教養学部(国際関係論)卒業。日本政策投資銀行を経て2013年米シカゴ大学ファイナンス・経済学博士(Ph.D)。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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