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徳洲会マネーで考えた“権力肥大”の負のスパイラル

権力は悪? “権力者への依存度が高い組織”が「裸の王様」生む

2013年12月3日(火)

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 あまりにわからないことが多すぎて、この“事件”に触れるのは賢明ではないのかもしれない。けれど、ちょっとだけサワリに使わせていただきます。

 権力とカネ。ん? カネと権力。いや、どっちが先でもいい。

 はい。そうです。「まだ、そんなことがやられているのかい?」と、ため息しか出なかった、例の“たまたま事件”だ。「たまたま相手が貸すと言ったので、たまたま借りただけ。たまたま返すのが遅れただけ」で、最後は、「借用書がたまたま出てきた」。オッと、失礼。これは、たまたまじゃあないですね。おそらくきっと……。

 いずれにしても、私が興味を持ったのは、記者会見の時の眉毛が妙に気になった猪瀬都知事ではない。

 「正しい目的のためには、どのような手段でも正当化される」を信条とする、医療法人徳洲会グループの前理事長、徳田虎雄氏である。

 今さら私が書くまでもないかもしれないが、徳田氏はもともとは医者だ。奄美諸島・徳之島の貧しい農家で少年時代を過ごし、医療もままならない環境で弟を亡くしたことで医師を目指し、若干34歳で「徳田病院」を大阪府松原市に開業した。

 しかし、過疎地や離島への医療の充実を図るためには、政治改革が必要と政界へ進出。1983年から衆議院選挙に出馬し、現職議員の保岡興治を相手に、「保徳戦争」とも呼ばれた札束が飛び交う選挙戦を繰り広げ、2回の落選後、ようやく1990年に初当選した。

 そんな徳田氏が、10年以上前に行われたインタビューで、興味深いことを言っている。

 「医者というのは手段であり過程。政治家だって、経営者だって同じ。私は、人間として生きている。生まれてから死ぬまで、人間として勝負をしないといけない。人間は他の動物と違う。弱者のためにいかに役だつかが他の動物との違いなんだ。例えば、四人家族で、一人が病気になると三人が看病する。もし自分だけがよければいいじゃないかって考えて、三人が旅行にでも行って帰ってきたら病気のやつが死んでいたとしたら、他の人はこういう。『お前ら、人間じゃない』って。やっぱり人間っていうのは、弱いもの、困っているものの為に全力投球して始めて人間なんだ」

 「なんのために戦うかわかるか? 命もいらん、何もいらん、金もいらんという基準で戦うんだ。西郷隆盛は、命もいらん、地位もいらん、金もいらんやつほど始末に困るが、そういう困る奴じゃないと国家の大義はなしえないと言った。徳田虎雄のことは、みんな始末に困っている。なぜなら、命もいらん、金もいらん、何もいらんという基準だからだ。そういう基準で戦わないといかん」

 私がこのインタビューを知ったのは、鳩山さんが普天間移設問題で、徳田氏に協力を求めたとの報道があり、そのことについてテレビや雑誌がこぞって特集を組んでいるときだった。

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「徳洲会マネーで考えた“権力肥大”の負のスパイラル」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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