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「ブラック企業。でも、辞められない!」 女性ワーキングプアの蟻地獄

2年前とあまりに変わらない窮状に唖然

2013年12月10日(火)

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 「ワーキングプアとか、プア充とか。“プア”なんて、軽い言葉で言ってほしくないです。僕の母は、ブラック企業で働いています。でも、辞めません。なぜなら、貧困だからです」

 これは、先日、ある大学で講義後のレポートに、ひとりの学生が書いていたものである。

 プア――。

 確かに、貧困と表現するより“軽い”。特に最近は、「プア充」なんて言葉も流行っているので、余計に軽いイメージがある。念のため補足しておく。プア充とは宗教学者の島田裕巳氏が勧めている生き方のことだ。

 「年収300万円というと、『それってワーキングプアじゃない?』『貯金できないし、結婚もできない』と思うかもしれないが、今の日本では100円ショップや格安ネット通販がそろっていて、むしろ楽しく幸せに暮らしていくことができる」と、島田さんは説く。

 昇給・出世するにはプライベートの時間を削り、身を粉にして働くことが求められる。出世したとしても仕事量が増えるばかりで、仕事がラクになるわけではない。だったら仕事に縛られずにそこそこ働き、年収300万円ぐらいで自分の生活を充実させていこう。収入が低いからこそ豊かで安定した生活ができて、楽しく幸せに生きられる。そんな生き方=“プア充”を勧めているのだ。

 「貧乏だからこそ、ちょっとした幸せを見つけられる」
 「貧乏のほうが、本当の豊かさがわかる」
 「貧乏って、確かに苦しいけど、それはそれで楽しかったりする」
 「だから、貧乏って悪くない」

 そういう考え方は大切だし、「経済成長命!」「カネカネカネ!」とばかりに、フツーの人たちまでもが株価に一喜一憂している世の中よりも、精神的な豊かさを追求したほうが、よほど健康的だとは思う。

「本当の貧乏」ってホントにわかってますか?

 でも、これは、「稼ごうと思えば、稼げるチャンスがある人」だからこそ勧められるし、受け入れられる考え方なのかもしれないと思ったりもする。

 「プア充なんて、本当の貧乏がわかってないから、そんなこと言えるんだ!」

 「貧困層だ」と称したこの学生は、そう思った。ワーキングプアだって、「働いても働いても、生活できない貧困な人々」って言えばいい。そんな世間への怒りをレポートに書いてきたのである。

 思い起こせば、大学院のときに、ホームレス研究をしている知人のお手伝いをしていたのだが、「これが“ワーキングプア”の実態なのか」と考えさせられたことがあった。

 「30過ぎると、仕事がない。やっと見つけて働いても、生活が成り立たない。家賃が払えなくなってホームレスになった。ホームレスっていうと、みんな働いてないと思ってるかもしれないけど、仕事をしている人が多いですよ」。元フリーターのホームレスの方が、こう教えてくれたのだ。

 当時は、マスコミなどで、ワーキングプア=「働く貧困層」という、アメリカで広がっている事態を説明する概念が使われるようになった時期。勝ち組だの負け組だのと、格差が問題になり始めたときでもある。

コメント33件コメント/レビュー

ご自分の手近な知見だけで、社会問題に対する見解を仕立て上げるのはよくない習慣だと思います。本稿で云えば、ある学生さんの訴えだけは具体的な事実でしょうが、そこからワーキングプア問題の実態や本質にまで一般化していく過程で、感情と偏見に満ちた短絡的決めつけが随所に見られます。広域メディアで発言する方は、語ることに対する緻密で広範な取材を徹底するか、さもなくば個人的雑感・想像であることをもっと明確にした文章表現にすべきです。このコメント欄にたくさん見られるような聞きかじりの情報に基づく断定を重ねてものごとを批評する人たちが増えて、本当のことや大事なことが埋もれてしまう社会になってきていると思うので。(2013/12/12)

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「「ブラック企業。でも、辞められない!」 女性ワーキングプアの蟻地獄」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ご自分の手近な知見だけで、社会問題に対する見解を仕立て上げるのはよくない習慣だと思います。本稿で云えば、ある学生さんの訴えだけは具体的な事実でしょうが、そこからワーキングプア問題の実態や本質にまで一般化していく過程で、感情と偏見に満ちた短絡的決めつけが随所に見られます。広域メディアで発言する方は、語ることに対する緻密で広範な取材を徹底するか、さもなくば個人的雑感・想像であることをもっと明確にした文章表現にすべきです。このコメント欄にたくさん見られるような聞きかじりの情報に基づく断定を重ねてものごとを批評する人たちが増えて、本当のことや大事なことが埋もれてしまう社会になってきていると思うので。(2013/12/12)

当コラムは基本的に「問題を抱えている人を救おう」といろいろな事例が例示され、その解決のための考察が展開される。しかし、解決策として「経済成長をして福祉レベル全体の底上げを図ることにより、その人の問題を解決する」といった案が提示されたことはなく、むしろ「経済成長は問題の根を深くするだけで全く解決にならない」と考えている節があるように見受けられる。もちろん、経済成長して福祉が底上げされるまで待っていられないというのであれば、筆者の提示する策も検討に値する。しかしながら、そもそも問題として例示されるものが「デフレやマイナス成長といったマクロ経済要因による賃金低下や労働条件の悪化」に起因するものが多い(今回のテーマなどまさしくこれ)にもかかわらず、解決策として最初から「経済成長」を捨てているのだから、読者にとってはどこかピントの外れたしっくりこない解決策しか提示されないし、筆者自身もしっくりこないため、最終的には「みんなで考えよう」しか言えなくなっているのではないか。(2013/12/12)

「貧困」の少ない(もとい十分に顕在化しない)社会で「貧困」に立ち向かうことは存外、かつての日本のように貧しい家庭の多かった時代に這い上がっていくことよりもずっと難しいこと、のような気がします。精神面のハードルを無視して人間社会を論じるというのはいかにも日本らしいですね。(2013/12/12)

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三品 和広 神戸大学教授