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“鬼上司”を絶滅させた「部下サマ至上主義」の功罪

部下の「認められたい」という思いには応える努力を

2014年1月14日(火)

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 「上司が自分の意見を聞いてくれない。なんかいつも上から目線だし。年をとってるってだけで、そんなに偉いんでしょうか? そういうのって、時代遅れですよ。大した仕事をしているようには思えないですから」

 これは50代の男性が、20代の若手社員に面談のとき言われた言葉だ。彼の会社では、一昨年から、直属の上司には言いづらいこともあるだろうと、ラインから外れた“斜めの関係”の50代社員が、若手社員の面談を定期的に行うことになった。

 その面談で、部下から出てくる話題のほとんどが、話を聞いてくれない上司への文句で、少々ウンザリしていたときに、冒頭の一言を浴びせられたのだという。

 「普段の彼らは従順で、とてもいい子。なのに面談では、トゲだらけのモノ言う部下に変貌する。こんな喩えは適切ではないかもしれませんが、女子高生が友だちの陰口を言ってるようにしか聞こえないです。ふた言目には、自分の意見を聞いてもらえない、自分をわかってないって。いったいナニ様だと思っているんでしょうか」

 彼は大きなため息をついて、こうこぼした。

「あなたは理想の上司ではなかったんで、辞めます」

 以前、高校時代の同級生が、自分になついていると思っていた部下に、「あなたは僕のことをちっともわかってない。理想の上司ではなかったんで、辞めます」と言われ、かなり落ち込んでいたことがあった。あまりにストレートで、素直すぎるその一言に、「まぁ、理想の上司じゃなかったんだよ(笑)」と、私はつい笑ってしまったのだが、おそらく彼の部下も彼の前では、“従順な部下”の仮面をかぶり続けていた。だから余計に、彼はショックだったのだろう。

 とはいえ、部下が上司の悪口を言うのは、何も今始まったわけじゃない。いつの時代にもある話なので、むしろ健全な姿だと思ったりもする。

 ただ、どんなに「不満はないか? 言いたいコトあったら、正直に言っていいぞ」と言われたところで、なかなか言えるものではない。少なくとも、私たちが20代のときには、上司の“悪口”は、気の許せる同期との会話でのみ許された行為だった。

 ところが、彼らは堂々と言い放つ。その躊躇のなさに、冒頭の男性は驚いた。彼らにはかつての部下たちに存在した、ためらうという思考回路が微塵も存在しない。

 「だって、自分の意見聞いてくれないだもん!」と、まるで駄々っ子のように、口を尖らせ、普段は“いい子”の部下たちが、悪口を言い続ける。その姿に冒頭の男性は、怒りと恐怖めいたものを感じてしまったのだという。

 そこで今回は、「陰でモノ言う部下」をテーマに、あれこれ考えてみます。

コメント45件コメント/レビュー

新卒で米国の銀行に就職し(1980年代)、そこからスイス、米国、イギリスの金融機関で働いてきた経験しかない私にとっては、理解しがたい感覚です。私が働いてきた環境において上司、先輩は認めてもらったり理解してもらったりする人ではなく、超えていくべきライバルです。金融のフロント・オフィスという結果がわかりやすい職場のせいもあるでしょうが、上司先輩も聞かれた事には答えますが、自ら学ぼうとしない人材を育てるという概念はありません。終身雇用など最初からなく、毎年契約書にサインして仕事をしています。それが心地良いという人種もいることを知ってください。(2014/04/03)

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「“鬼上司”を絶滅させた「部下サマ至上主義」の功罪」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

新卒で米国の銀行に就職し(1980年代)、そこからスイス、米国、イギリスの金融機関で働いてきた経験しかない私にとっては、理解しがたい感覚です。私が働いてきた環境において上司、先輩は認めてもらったり理解してもらったりする人ではなく、超えていくべきライバルです。金融のフロント・オフィスという結果がわかりやすい職場のせいもあるでしょうが、上司先輩も聞かれた事には答えますが、自ら学ぼうとしない人材を育てるという概念はありません。終身雇用など最初からなく、毎年契約書にサインして仕事をしています。それが心地良いという人種もいることを知ってください。(2014/04/03)

この手の記事は、若者は、年配者は、上司は、部下はと分けたがりますが、結局のところ、どちらが悪いという話ではなく、各自のコミュニケーション能力に帰属する話なのではないかと思います。「自分の意見が聞いてもらえない部下にウンザリ」とありますが、「他人の意見を聞かない上司」にウンザリしている人も山ほどいるわけですから。(2014/01/20)

年上に敬意を払うべきというのは、確かに一理あります。年上は、自分が経験していないことを経験しているかもしれないし、知らないことを知っているかもしれないし、思いもよらなかったアイディアを持っているかもしれないからです。ただし、今の時代、上司が年上とは限りません。年上の部下だって、年下の部下だって、自分が経験していないことを経験している可能性は高いです。つまり、上司だからと偉そうにするのではなく、どんな立場の人も敬うべきなのです。皆を敬い、皆のアイディアを活用すること、それがダイバーシティということです。(2014/01/17)

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