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東海道五十三次で改めて考える複眼的思考の重要性

企業経営者に求められる3つの視点

2014年2月3日(月)

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 トリビアめいた話になってしまうが、歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」のシリーズは、53枚ではなく、実は55枚の版画からなっている。東海道の53の宿場を題材にしたものに、出発地・到着地に当たる江戸日本橋と京都三条大橋の2枚が加えられているからだ。

 この53という宿場の数、徳川家康が伝馬制度を作った際に定められたものらしい。街道を整備し、一定距離ごとに駅を置いて伝馬を用意する。隋・唐、あるいは古代ペルシャ以来綿々と続く、(本来の意味での)「駅伝」制度が、五十三次の起源ということになる。

 ただ、53という数字は、馬を乗り継ぐ距離との関係だけで決まったものではないらしい。仏教経典の「華厳経」に基づいたものだというのだ。

 法政大学の田中優子教授のお書きになったもの(”江戸の見立て”、INAX出版『現代見立て百景(INAX BOOKLET)』に収録)に即して、説明させていただこう。

  • 華厳経の登場人物の1人、善財童子は、仏道を求めて、53人の善知識(よい指導者)を訪ね歩き、最終的に毘蘆遮那仏に巡り会う。
  • 東海道の宿場はそれぞれ善知識の1人に見立てられ、街道全体も華厳の世界を模した「見立て」となっている。

 日本文化の特徴の1つ、「見立て」という手法によって、東海道五十三次は、「善知識を巡る華厳世界」という別の意味を持つ。

 もう少し踏み込むと、「軍事的側面からの駅と伝馬」「参勤交代からお伊勢参りまで様々な人々が利用するインフラとしての街道と宿場」「華厳経を踏まえた宗教的な道のりと途上での出会い」という3種類の視点で、複眼的に眺めることで、初めて五十三次を総合的に理解できるというわけだ。

2つの視点を持つ経営者は多いが…

 話はがらりと変わるが、ビジネス、あるいは企業経営を見る経営者の視点。これも、複数の視点で複眼的に眺めることで、その本質が浮き彫りになり、経営上の意思決定をより深いものにできるのではないかと考えている。

 具体的には、次の3つの視点だ。

  1. 戦略視点
  2. オペレーション視点
  3. リスク視点

 言うまでもなく、多くの経営者は、「自社がどのような場で競争し、その中でどういう優位性を築いていくか」という戦略視点と、「やるべきことをどう徹底し実行していくか、さらに改善していくか」「異なる部門の円滑な連携をどう担保するか」というオペレーション視点の2つを同時に用いながら、経営に当たっておられる。

 しかし、リスクの移転によって収益を上げる金融業界を除いては、3つ目のリスク視点を同時に活用している例は、必ずしも多くない。

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「東海道五十三次で改めて考える複眼的思考の重要性」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長