• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

医療費の「高齢者1割負担」がもたらすメリットとデメリット

医療需要も、料金に反応するのか?

2014年2月20日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本の高騰する医療費は、政府の財政状況を逼迫させており、医療費の抑制は、政府にとって緊急の課題である。実際、政府は、診療機関へ支払われる保険診療報酬のカットや包括支払制度の導入等の「医者や病院」といった「供給」側を対象とした医療費削減政策をいくつか導入してきた。しかし、これまでの研究から、それらの政策が医療費削減に効果的であったという証拠はあまり得られていない。

 医療費削減への代替案として、「需要」側に対するアプローチ、すなわち、「患者」に以前よりも多くの窓口負担を強いるという方法がある。しかし、患者の窓口負担の増加には、利点と難点の両方が考えられる。

高負担か、より良い健康か

 利点は、窓口負担の上昇により、患者の無駄な医療サービスの利用を抑制できる点である。一方で、窓口負担を強いることで患者が必要な治療を受けないために、症状が悪化し、より深刻で費用のかかる病状に陥る可能性がある。もう1つの難点は、病気の際にも突然の大きな支出を避けられる保険の利点が損なわれる点である。

 しかし、自己負担額が、患者の医療サービス利用や、それに伴い患者の健康にどのような影響を与えるかを、厳密に(注:計量経済学的に内生性を考慮し)定量的に分析した研究は数少ない。例えば、「需要」側に対するアプローチを検討する上で、最重要な指標となる「医療需要の価格弾力性」という指標がある。

 これは価格が1%変化した際に、医療需要が何%変化するかを表すが、今でも1970-80年代にアメリカで行われた研究(Newhouse, 1993)で得られた価格弾力性の推定値が、各国でベンチマークとして用いられている。これは、社会実験として人々にランダムに窓口負担を割り振って、価格弾力性を推定したものである。

 しかし価格弾力性は、時代、国、年齢、収入などによって変わる可能性のあるものであり、常に正確な値が求められる。それにこうした社会実験は、実施に膨大なコストがかかる。

コメント10

「「気鋭の論点」」のバックナンバー

一覧

「医療費の「高齢者1割負担」がもたらすメリットとデメリット」の著者

重岡 仁

重岡 仁(しげおか・ひとし)

サイモンフレーザー大学助教授

2001年東京大学工学部卒業、03年同大大学院工学研究科修士課程修了。06年米コロンビア大学国際関係修士課程修了、12年に同大学からPh.D.(経済学)取得。専門は医療経済学、労働経済学など。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

このままじゃ、高級魚のクロマグロばかりでなく、より身近なマグロのメバチやキハダもいなくなる。

高松 幸彦 マグロ一本釣り漁師