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“メダルを逃した選手批判”と“パワハラ上司”の共通点

「ダメ出し」は部下を信じる気持ちがあってこそ

2014年2月18日(火)

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 今回のオリンピックでは、どういうわけか“ママ目線”で応援している自分がいる。

 浅田真央選手を小さい頃から、画面で見てきたから?
 髙梨紗羅選手が小さな身体で、世界で果敢に挑む姿を見てきたから?
 はたまた、ただ単に、「そういう年齢」に私がなっただけなのか?

 ううむ……、理由は定かではない。

 “ママ目線”だなんて、一流のアスリートに対して、まったくもって失礼な話ではある。

 だが、彼女たちを見る度に、無償の愛情エキスらしきものがジンワリと溢れ出し、母性本能が掻き立てられる。子どもを産んだことも育てた経験もゼロで、これまで“母性”なるものの存在を、自分の中に感じることすらなかっただけに、この“ママ的”感情に戸惑っている。

 感情は気まぐれで、意識や理屈とは関係なしに湧き立つもの。だから、実にややこしい。困ったことだ。

 しかも、厄介なことに、

 「金メダルを取らせてあげたい!」

 なんて気持ちで、ついつい応援してしまうのだから、たまったもんじゃない。

 いやいや、現実には私がどんな気持ちになろうとも、直接、彼女たちとお会いすることもないので、さしたる問題はないのだとは思う。

 だが、面識のない私でさえこんな“ママ目線”に陥ってしまうってことは、アスリートたちのかたわらで、応援してきた人たちは、結構、しんどかったんじゃないのかなぁなどと、これまた勝手に思ってしまうのです。

 近い人であればあるほど、どれだけ彼女たちががんばってきたか、どれだけ苦しんできたか、どれだけ踏ん張ってきたかがわかる。だから余計に、「金メダルをとらせてあげたい!」と思うはず。彼女たちが最高のパフォーマンスができるようにと、心の底から祈るに違いない。

 その一方で、自分の“想い”が、“重い”プレッシャーにならないようにと、自分の感情の表出の仕方に、あれこれ悩む。

 無用なプレッシャーにならないようにと、言葉を選び、気遣い、思いやる。

 選手たちの気持ちに寄り添えば寄り添うほど、自分の言葉、表情、醸し出す空気などなど、ありとあらゆることに過剰なまでに神経が張り巡らせられ、雁字搦めになる。

 が、残念なことに、どうあがいたところで、プレッシャーはかかってしまうのだ。

 「応援してくれる人たちに恩返しするには、自分ががんばるしかないので、メダルを持って帰りたかった」

 髙梨選手がこう言っていたように、 相手が自分を思いやる優しい気持ちが伝われば伝わるほど、「がんばってメダルをとってきて、喜ばせなきゃ」なんて感情が、選手のほうにも、これまた無意識に湧いてきてしまうのだ。

 なんとも。実に、皮肉な話だ。

 だったら、いっそのこと「金メダルを取ってこい!」と星一徹風のヘビー級のプレッシャーをかけ、「アンタのために戦ってんじゃないよわよ!」と逆ギレして、怒りをやる気に変えてくれればいいのかもしれないけれども……。当たり前の話だが、そんな簡単にいくもんじゃない。

 「メダルが取れなかったからどうしよう」
 「いつもどおりできなかったからどうしよう」

 などなど不安ばかりが募り、身動きが取れなくなり、ネガティブスパイラルに入り込む。星一徹・飛雄馬親子のようには、そうそうなれるわけがない。

 言うまでもなく、一番しんどいのは、大舞台に挑むアスリートたちだ。

 でも、髙梨沙羅選手の真っ直ぐすぎるほど、純粋な表情や言葉を聞きながら、「周りで応援する人たちも、無用な“プレッシャーをかけないこと”へのプレッシャーに苦悩したんだろうなぁ」なんて、思ったりしたわけです。

 そこで、今回は、「プレッシャーと頑張って欲しい気持ち」について、あれこれ考えてみようと思う。

コメント22件コメント/レビュー

昔はプレッシャーをかけまくってましたけどね。選手にプレッシャーをかけて良いことないというのを、日本人はここ30~40年のオリンピックで学びました。さらに、隣の国と違い客観的な視点が得意な日本人は、選手と自分、選手と国家、自分と国家を同一視することも、(ほとんどの人は)しません。直立不動で国家を歌えなどという不遜な人はほとんどいないのです。(2014/02/20)

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「“メダルを逃した選手批判”と“パワハラ上司”の共通点」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

昔はプレッシャーをかけまくってましたけどね。選手にプレッシャーをかけて良いことないというのを、日本人はここ30~40年のオリンピックで学びました。さらに、隣の国と違い客観的な視点が得意な日本人は、選手と自分、選手と国家、自分と国家を同一視することも、(ほとんどの人は)しません。直立不動で国家を歌えなどという不遜な人はほとんどいないのです。(2014/02/20)

●スポーツにしても芸術にしても、支える側の懐の深さ(金銭的な援助も含めて)こそが大事なはず。そういう意味で日本はホント駄目ですね。大きく支えているのは@@クリニックくらいですか? ニュースサイトで流れてくるコメントなんかを見ても、近頃は他人には厳しい人間ばかりでうんざり。恐らく彼ら彼女らの多くが毛嫌いしている韓国と同レベル。自分でとことん頑張った経験がないから、あの舞台に立つ人間の「楽しみたい」の裏にどれだけの努力と競争があったのか想像も付かないんでしょう。●しかしこの内容、昔の猛烈社員が多い日経の読者には受けないだろうな・・と思いましたが予想通り。昔のやり方を否定されてむかつくでしょうが、日本を駄目にしたのはあなた方です。(2014/02/19)

興味深く読みました。いろいろなコメントも勉強になります。税金が使われるのですね。国民が選んだ代表が決めたからでしょうね。オリンピック出場の選考についての差別があれば問題だと思います。被差別部落出身だから出られない等があれば許されません。しかし、門地や納税額や思想で出られないということは、多分ないでしょう。誰でも出られますし、出るからには予選を勝ち抜いたという資格を満たしているということでしょうから、素直にそこを評価してもいいのかもしれましん。私は日本放送協会とのテレビ受信契約をしていないので、ラジオしか持っていないのですが、選手のお父さんの気持ちで、日本の選手を応援しています。オリンピックは映像で見たくなります!(2014/02/19)

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