• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

テストの合間に、友達と答え合わせをしましたか?

上田紀行・東京工業大学教授と「宗教を考える」その1

2014年3月19日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

この連載がついに書籍になります!
池上彰の教養のススメ』(2014年4月発売)。

池上彰の教養のススメ』(2014年4月発売)。

 2012年、池上彰さんが東京工業大学のリベラルアーツセンターの教授に就任して2年。以来、同僚である哲学者の桑子敏雄先生、文化人類学者の上田紀行先生、生物学者の本川達雄先生と一緒に、「教養」について考え抜いた本です。

 「教養」なんて役に立たない。英語だのITだのすぐに役立つ実学が大事だ!といわれて久しい――。でも、時代の変革期に「本当に役に立つ」のは、新しいものを生み出すのは、むしろ「教養」の力です。

 本書の発行に先駆けて、上田紀行先生との対談を集中連載します。

 上田先生の専門は、文化人類学と宗教学。「無宗教」と自認する日本人ですが、実は日本人は、世にも奇妙な宗教を信じている。それはしかも「会社」と大きく関わっている。オウム真理教問題から靖国神社問題まで、現代日本の宗教について、縦横無尽に語ります。

 では、皆さんもどうぞ「教養にまみれて」ください。

池上:上田紀行先生は私と同様、東京工業大学リベラルアーツセンターでリベラルアーツを教えています。文化人類学と宗教がご専門でしたね。で、実は私たち、もうひとつ共通点があります。それは、2人ともダライ・ラマと対談をしたことがある、ということ。

上田:対談どころか2人とも共著まで出しています。東工大リベラルアーツセンターの教員のなんと5割がダライ・ラマと共著を出していることになりますね。ま、全部で4人しか教員がいない、ということなんですが(笑)

池上:ダライ・ラマの話が出たところで、さっそくご専門の宗教の話をうかがいましょう。日本はとかく無宗教の国と言われますし、理系の合理主義者が集まりそうな東工大は、とりわけ宗教と無縁に感じられます。

上田 紀行(うえだ・のりゆき)
文化人類学者。1958年生まれ。東京大学教養学部文化人類学科卒業、同大学院博士課程修了。愛媛大学助教授を経て東工大へ。「癒し」という言葉を日本に広め、日本社会の閉塞性の打破を、新聞、テレビ等でも説く。近年は沈滞する日本仏教の再生運動にも関わり、ダライ・ラマとの対談も出版。東工大では学生からの授業評価が全学1位となり、東工大教育賞最優秀賞を受賞。著書『生きる意味』(岩波新書)は2006年度大学入試出題数第1位の著作となる。その他、『生きる覚悟』(角川SSC新書)、『「肩の荷」をおろして生きる』(PHP新書)、『ダライ・ラマとの対話』(講談社文庫)など著書多数。(写真:大槻純一、以下同)

上田:たしかに、授業で「みなさん、宗教を信じていますか」と聞いて手を挙げてもらうと、誰も手を挙げません。

池上:まあ、そうでしょうね。

上田:ところが、です。その次に私が「初詣でに行ったことのある人は」と聞くと、ほとんどすべての学生の手が挙がります。次に「お守りを持っていたことがある人」と聞いても、やはりほとんどすべての手が挙がる。そこで私はさらにつっこみます。「じゃあ、今ここでハサミを持ってきたら、そのお守り、切り刻むことができますか?」。こう詰め寄ると、学生はめっそうもない、という顔で言うわけです。「そんなこと、できません」

池上:宗教を信じていないはずなのに、お守りは切り刻めない?

上田:そうなんです。そこで「じゃあ、君はどうして切り刻めないの?」と聞くと「だって、罰があたるじゃないですか」と答えるんです。

お守りは紙なのに切り刻めない、なぜだろう

池上:誰が罰をあてるんでしょう?

上田:そう私が聞きます。学生は即答します。「神様に決まってるじゃないですか!」

池上:信じてるじゃないか、神様!(爆笑)

上田:さらに、なぜ、初詣でに行くの、と聞くと、「御利益があるからですよ」。ご利益は誰がくれるの、と聞くと、「神様」と即答します。そこで、なんだ、みんな神様のこと、信じているじゃないか、だったら君たち無宗教でも何でもないよね、と言うと、「いいえ、僕は無宗教です!」とキッパリ否定する。そのまま、押し問答です。

池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト。1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。2012年4月より、東京工業大学リベラルアーツセンター教授として東工大生に「教養」を教える。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。

池上:神様は信じているのに、無宗教です、と言い張る東工大生。面白いですね。でも、これ、日本人の代表的宗教観かもしれません。そういえば、昔は飲み屋さんの脇の電信柱に鳥居の絵が描かれたりしていました。立ち小便防止の意味を込めて。ここにおしっこをかけると罰が当たるぞ、と。

上田:ほんとかどうかわからないですが、仏壇のある家の子は、ない家の子に比べると、非行が少ないと聞いたことがあります。ご先祖様がお見通しだぞ、というわけです。それから、どんな子でも、いや、大人もそうかな、仏壇の前でエッチな本は読めない(笑)

池上:つまり日本人は具体的な宗教に対する帰依の意識はない。にもかかわらず、神様仏様の視線はどこかで感じていて、それに対する畏怖の意識がちゃんとある。七五三では神社へ行き、キリスト教の教会で結婚式を挙げ、死んだらお寺に世話になる。なんというか、特定の宗教に対する信仰心はなくても、神様を意識する宗教心のようなものは持ちあわせている。自分は人知を超える力によって生かされていて、その存在を神様や仏様と呼んでいる、というか……。日本人の宗教観はつくづく不思議です。

コメント2

「池上彰の「学問のススメ」」のバックナンバー

一覧

「テストの合間に、友達と答え合わせをしましたか?」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の社会に足りないのは起業家精神です。

デイビッド・ルーベンシュタイン 米カーライル・グループ共同創業者兼共同最高経営責任者