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“がん宣告”を受けた女性課長を脅す「上司の偏見」

がんにかかっても、働き方さえ工夫すれば共存できる

2014年3月4日(火)

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 今回は、「コラムで取り上げるべき話題だ」と思いながらも、「どう、取り上げればいいのか?」との気持ちから、なかなか書けなかったことを書こうと思う。

 45歳。女性。管理職。未婚。部下あり。子供なし――。

 そんな1人のワーキングウーマンのフィールドインタビューを終えようとした間際、彼女がボソッっと切り出した。

 「実は私、乳がんが見つかってしまって。来週、やっと手術なんです」

 なんと彼女は、私のインタビューを受けるふた月前に、乳がんの宣告を受けていたのである。彼女が、「やっと……」と語ったのは、患者が多く、手術をするにも、治療をするにも、“待たされた”から。

 「乳がんの患者さんって、ものすごく増えているみたいで。河合さんも、検診、マメにうけてくださいね」

 彼女自身、不安なはずなのに……。そう彼女は私を気遣ったのである。

 私事ではあるが、私の母も乳がんを患っている。かなり昔。まだ私が中学生のとき、母は乳がんになり全摘出している。

 だが、幸い再発することもなく、元気に暮らしている。乳がんだったことを忘れてしまうほどに、だ。実に元気に。思い出す瞬間といえば、温泉に一緒に行ったり、放射線治療の跡が見えない服を選ぶときくらいだ。

 なので、乳がん告知を不安がる彼女に対し、

 「大丈夫。心配しなくて大丈夫。私の母も手術したけど、全然元気だから」と励ました。

 が、その一方で、同年代の彼女の告白に、戸惑った。

 「もし、自分だったら……」

 そう思うと、なんとも言葉にしがたい感情に襲われたのだ。

 感情が割れているときというのは、上手いこと原稿が書けない。書いているうちに、感情があっちこっちに揺れて、伝えたいことがゴチャゴチャになる。だから、書けないまま時間が過ぎていたのである。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「“がん宣告”を受けた女性課長を脅す「上司の偏見」」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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